人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

世界の都市の人口密度の上位10位(300万人以上)

世界の都市 人口密度 上位10位(300万人以上)

 

横軸の単位は、人/km2です。

データは英語版の各都市のwikipediaの人口と面積を参照してます。

デリー(2011年)以外は、2020年以降の新しいデータです。

 

調べてみようと思ったきっかけは、東京23区の人口密度は世界で1位なのかどうかを知りたかった為です。

 

ダッカバングラデシュ)】

バングラデシュダッカの1km2当たり3万人以上の人口密度は、他に類がなく飛びぬけた数値になってます。
他の都市と比較すると、800万人の人口が(東京23区の半分)305km2と小さい面積に収まっていることが人口密度を押し上げています。
何故これほどまでに人口密度が高くなっているかは所説ありますが明確な答えはありませんでした。


バングラデシュは、国としても1000万人以上いる国家としては人口密度が1位です。
ダッカは英誌エコノミストの調査部門がまとめた「世界で最も住みやすい都市」のランキングで、ワースト2でした。

世界一住みやすい都市は3年連続でメルボルン、最下位はダマスカス | ロイター

住みにくい街1位は当時内戦中のシリアのダマスカスです。

 

ソウル特別市

ソウル特別市と東京23区は、人口も面積も人口密度も不思議とほぼ同じです。
ソウル特別市は、1991年に1000万人を突破した後に減少に転じて、ソウル特別市から周囲の地域のソウル都市圏に移動してるようなので、人口密度としては頭打ちなのかもしれません。
東京23区は2023年が人口密度としては過去最高で、ソウルとは異なっている点です。

 

【欧米の都市は人口密度が高くない】

ニューヨーク市は人口密度が11,000人/km2ですが、70年前から人口が12%しか増えてません。ロンドンやパリを見ても、狭い範囲に人口が集中しているというわけでなく、広い範囲に人が満遍なく住んでいるのがアジアと異なるように思いました。

 

【中国の戸籍制度】

上海や北京や香港は人口密度は高いですが、上位10位に入るほど高くはなっていないのは、中国の農村から都市へ移動するのに戸籍制度で国がきちんと統制を計っているからかもしれません。

中華人民共和国の戸籍制度 - Wikipedia

 

 

【地方都市の貧困で大都市に人が集まるのか?】

人口密度上位10都市を見て、国家としてどちらかというと貧困に近いところが多いと思いました。都市としては経済成長しているが地方が稼げなくなって都市に人口が集中した結果に思えます。

 

ニューヨーク市やソウル市は人口が減少しているのに、東京23区は未だ増加しているのは、日本の地方都市の疲弊で東京に移住する人が増えているのではないでしょうか。

 

狭い地域の過去のデータですが、日本では1940年に東京市浅草区が人口密度が52,000人/km2と世界一位と言われてたようなので、日本人は過密でも耐性があるのかもしれません。

https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/01soumu/archives/0714ku_jinkou.pdf

 

 

【人口密度 上位10都市】

  人口 面積km2 人口密度
ダッカ(バングラデシュ) 10,278,882 305 33,649
キンシャサ(コンゴ) 16,316,000 600 27,193
カラチ(パキスタン) 10,193,483 438 23,273
マニラ(フィリピン) 13,484,462 620 21,767
ムンバイ(インド) 12,478,447 603 20,694
ジャカルタ 11,350,238 661 17,165
デリー中心部 9,129,098 567 16,101
東京23区 9,792,550 628 15,604
ソウル特別市 9,386,034 605 15,509
スーラト(インド) 6,936,534 462 15,027

乳児死亡率と出生率が相関するのは「子孫の量と質の間でトレードオフ」

世界113ヵ国の合計特殊出生率(縦軸) 乳児死亡率(1,000人当たり)  2021年

 

2021年時の乳児死亡率(1歳未満死亡率)と合計特殊出生率の世界113ヵ国の散布図です。
昔から言われていることで、出生率の低下に一番寄与している要因は「乳児死亡率の低下」ということでグラフにしてみたところ相関が強く0.86でした。
下記のサイトでも「乳児死亡率」と「出生率」の相関は0.93と非常に高いと言われております。

日本だけでない「世界的な人口減少」は不可避だ 「人口・出生率・死亡率」の深い関係を分析 | ソロモンの時代―結婚しない人々の実像― | 東洋経済オンライン

 

2021年日本の乳児死亡率は1.7/1000人 で、世界でも最も低い値になっております。

 

日本の乳児死亡率(1歳未満) 1919年~2021年

日本では1919年に乳児死亡率が17%でしたが、100年後の2021年では0.17%と、1/100に激減してます。
日本だけでなく世界各国が乳児死亡率が1900年以降に激減して、比例するように出生率が低くなってきてます。

 

日本の乳児死亡率(1歳未満)と出生率 1925年~2021年

青線が乳児死亡率(1000人当たり)、赤線が合計特殊出生率です。

 

日本の合計特殊出生率で一番古く確かなデータが1925年の5.11で、そこから5年間隔で合計特殊出生率と乳児死亡率(1歳未満死亡率)をグラフにしてみました。
乳児死亡率が1/100になり、出生率が1/4になっています。
20世紀になり世界中で乳児死亡率が低下した明確な要因は分かってはいないようですが、一説には「水道水の塩素殺菌の導入」により、細菌やウィルスから子供を守ったのではと言われてます。

塩素消毒 - Wikipedia

 

日本の乳児死亡率が世界一低い理由は、水道水の基準が世界一厳しく細菌やウィルスを排除しているからかもしれません。

 

哺乳類の1歳未満死亡率

1歳未満死亡率を他の哺乳類や過去の人類や他の国と比較してみました。
犬は23%、日本猿が40%、ライオンやキリンが60%というデータがありました。
江戸時代では「大名の乳幼児死亡率 」を研究したデータを参考にしています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jps/24/0/24_KJ00009383846/_pdf

本来は人間の乳児死亡率が20%ほどだったものが、100年前から急激に死亡率が激減して世界的に寿命が伸びて出生率が減ったということになります。

 

出生率と乳児死亡率に相関があるか否かは100年以上前から議論】

 

1916年京都大学 乳児死亡率と出生率の関係はないのではという論文

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/127042/1/eca0031_125.pdf

 

1932年京都大学 乳児死亡率と出生率の関係はないのではという論文

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/130252/1/eca0356_889.pdf

 

平成17年の内閣府では、乳児死亡率の低下が出生抑制になったと言っている

平成17年版男女共同参画白書 | 内閣府男女共同参画局

 

2004年内閣府 乳児死亡率1%以下では出生率2.0以下になるので人口を維持できない

https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/syosika/houkoku/pdf/gaiyouban.pdf

 

 

【2015年オックスフォード大学 子孫の量と質の間でトレードオフ

出生率と乳児および若年者の死亡リスクとの関係を理解することは、人口統計学者や生物学者の長年の関心となっています。
進化生物学に由来する生活史理論では、生物には予算が限られており、子孫の量と質の間でトレードオフに直面するという。出生率が増加すると、個々の子孫に投資できる時間とエネルギーが減少し、死亡する可能性が高まります。

 

結論として、我々は、伝統的な自然な出生条件下では、(1) 出生率と死亡率は密接に関連していると提案します。 (2) 生殖能力の根底にある生理学的プロセスは、個人の状態(エネルギー入力と貯蔵の観点から)、既存の投資容器、および出産間隔とその後の乳児死亡率との間の環境によって変化する関係に合わせて調整されている。 

https://academic-oup-com.translate.goog/book/8256/chapter/153854631?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

 

 

【進化生物学に由来する生活史理論のトレードオフとは】

養育に重点を置いた場合,子どもの数を減らす代わりに,個々の子どもに多くの資源を配分し,子どもを他個体 / 多種との競争の上で優位な個体にすることができる。
つまり,ここでも成長・繁殖との間と同様のトレード・オフの関係性がみられる。

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/30968

 

 

【子供に受験競争や経済的生存競争を勝ち抜くことを期待することで少子化になるのか】
オックスフォード大学の論文では、子供が生存競争を勝ち抜くために親が投資できる資源が絞られるために少子化になるということのようです。乳児死亡率を減らすために出産数を減らす、それが少子化になるということなのでしょう。


世界一少子化の韓国では受験競争が激化していて、中国でも大学卒業しても就職先がないほど学歴競争が激化して、中国の合計特殊出生率が1.09になっています。現在の自由競争の資本主義社会では、生存戦略として子供を少なくするというのは自然な選択なのかもしれません。

 

 

【乳児死亡率が1%以下で合計特殊出生率が2以上の国はあるのか】

この記事の最初の散布図2021年乳児死亡率と出生率の比較で、乳児死亡率1%以下で出生率2.0以上は6ヵ国はでした。

 

イスラエル
サウジアラビア
クウェート
レバノン
オマーン
カザフスタン

 

中東のイスラム教の国とイスラエルユダヤ教)でした。
イスラム教やユダヤ教では、資本主義での生存戦略とは違い、子孫の量を優先する教えがあるから、子孫の量と質の間でトレードオフに直面しないのかもしれません。

 

東京都の人口集中率は「25~29歳」「30~34歳」「40~44歳」で2022年が戦後最高

東京都の5歳階級人口集中率 全国比 1940~2022年

【出典】

社会・人口統計体系 都道府県データ 基礎データ0000010101 A 人口・世帯 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

 

日本の総人口(外国人含む)を年齢5歳階級で分けてみた時に、東京都に全国の何%が集中しているかを1940年から5年間隔にグラフにしてみました。

2022年が戦後最高だったのは、「25~29歳」「30~34歳」「40~44歳」「55~59歳」「60~64歳」で、特に「25~29歳」の伸びが直近10年で著しく2022年時点で15.2%となっております。

 

日本人・外国人を分けた統計が2013年以前は存在してなく、1960年代の集団就職時期と比較したかったので、今回のグラフは「総人口」になってます。

25~29歳の2022年の東京の人口集中率は1965年の高度成長期を超えた数値になっています。

 

【東京都の年齢階層別の人口集中率 2022年】

 

 

東京都では10代の人口は全国比で10%前後ですが、18歳の大学進学や22~23歳の就職を契機に東京への移住で転入超過になり、「25~29歳」で全国の15.2%の人口が集まります。

その後30代を過ぎてから東京からの転出超過に徐々になり、「60~64歳」では全国比10%と、10代と同じくらいの数値に落ち着きます。

 

東京都の人口集中を見ると、5歳階級で見ると「25~29歳」が急激に上がってきてます。

東京都の25~29歳人口集中 全国比 1940年~2022年

高度経済成長の1960年代は「20~24歳」の集中率が高かったのですが、現在は大学に進学する人が多いので大学卒業後に東京に集中するような傾向になっています。

 

 

【東京集中の要因は地方との賃金格差】

 

一人当たり県民所得のジニ係数・上位5県平均と下位5県平均の比

上記のグラフは、「県民所得の上位5県、下位5県の比率」の推移になります。

https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/monitoring/system/contents/03/3-1-2.pdf

 

地方から東京に移住することで年収が1.4倍以上になると東京集中が加速して、1.3倍を下回ると東京集中が減速するという大学教授の論文を読んだことがあります。

現在は地方と東京の新卒の生涯賃金が1.4倍以上と期待値計算する人が多いので東京集中が加速しているのではないでしょうか。

 

「25~29歳」の人口が東京に集中する率が上がれば、自然と勤労世代の「30代~50代」の東京集中も過去よりも上がっていきます。

地方の労働人口が減少すれば、更に「地方」と「東京」の賃金格差が広がり、新卒が東京へと移住するという流れになってしまいます。

 

 

【日本人の18歳~25歳の東京都への転入超過】

日本人の東京都の転入超過 18~25歳 2010年~2023年

 

統計で「日本人のみ」「各歳」で見つけれた18歳~25歳の転入超過2010年から2023年をグラフにしました。(2012年と2013年が見つからなく空白です)

2020年と2021年はコロナにより落ち込みましたが、2023年は再び上昇しています。

 

 

【東京都の転入超過 18~25歳】

2014 64,181
2015 70,766
2016 72,424
2017 74,510
2018 75,028
2019 77,328
2020 70,697
2021 70,044
2022 76,844
2023 82,420

男性50歳未満の就業者数は2023年が過去最少で1,991万人(統計開始1973年以来)

日本の男性50歳未満 就業者数 1973年から2023年

就業者(非農林業)男性・50歳未満の1973年からの統計のグラフになります。
1972年以前は沖縄県が含まれてないのと、1968年以前は年齢が5歳階級で統計を取ってなかったため、現在の統計方法は1973年からの開始となっております。

 

政府統計データ:

https://www.e-stat.go.jp/en/stat-search/files?page=1&layout=dataset&toukei=00200531&tstat=000000110001&cycle=0&tclass1=000001040276&tclass2=000001011681&stat_infid=000001082684&alpha=13%2C14%2C15&tclass3val=0

 

 

男性50歳未満の就業者数が減少している理由は、就業率が減少したわけでなく純粋に50歳未満の人口がいない為です。

男性50歳未満人口と就業者数

 

OECD加盟国の男性就業者と比較】

OECD加盟国のデータで、「男性25~54歳就業者数」を2022年と2010年をグラフで比較してみると、日本だけが男性就業者数が極端に減少しているのではなく、イタリアや韓国といった出生率が低い国では日本と同様に直近12年間で7%以上減少しております。

 

OECD男性25~54歳就業者 2022年÷2010年

 

【日本の男性の正規雇用社員の人数推移】

男性45歳未満の正規社員の人数 1988年~2022年

図9 各年齢階級の正規、非正規別雇用者数|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)

 

統計上50歳未満が見つけれなかったので男性45歳未満の正社員数の1988年~2022年の推移のグラフになります。
毎年減少していっているのが分かります。1992年から30年経過して45歳未満の男性正規雇用者数が30%減少したことになります。

 

 

【1950年から2023年の日本の50歳未満の人口推移】

日本の人口50歳未満の推移 1950年~2023年

現在の50歳未満の人口(男女計)は、終戦直後の50歳未満の人口よりも少なくなっています。

1980年に50歳未満の人口が8,907万人だったのが43年経過して6,028万人と32%減少しております。

 

【女性50歳未満の就業者数は増加している】

女性50歳未満 就業者数 1973年~2023年

男性50歳未満の就業者数のグラフでは、1973年から2023年で437万人減少しています。

女性の50歳未満の就業者数を見ると、最大増加幅で1975年の1,310万人から2018年の1,784万人と474万人増加しています。

単純差し引きで50歳未満の男女の就業者で考えますと、男性の就業者数が50年で20%減少した分を女性が補ってくれてるという推察が出来ます。

 

【今後は女性の就業者数の増加を見込むのは難しく人手不足になる可能性】

2023年の50歳未満の女性の就業率は80%と、就業率は毎年過去最高になっています。

50歳未満の女性の人口が年々減少しているのと、就業率が80%と高い状態で伸びしろが少なく、上記のグラフのように50歳未満の女性の就業者数は1,700~1,800万人で頭打ち状態にあります。

 

 

【日本の男性50歳未満 就業者数(万人)】 

1972 2,298
1973 2,361
1974 2,382
1975 2,384
1976 2,393
1977 2,390
1978 2,384
1979 2,403
1980 2,413
1981 2,415
1982 2,422
1983 2,430
1984 2,433
1985 2,427
1986 2,427
1987 2,428
1988 2,448
1989 2,478
1990 2,501
1991 2,519
1992 2,523
1993 2,525
1994 2,507
1995 2,506
1996 2,523
1997 2,517
1998 2,458
1999 2,399
2000 2,371
2001 2,332
2002 2,289
2003 2,268
2004 2,256
2005 2,255
2006 2,257
2007 2,255
2008 2,242
2009 2,186
2010 2,175
2011 2,166
2012 2,154
2013 2,148
2014 2,147
2015 2,132
2016 2,141
2017 2,134
2018 2,138
2019 2,123
2020 2,084
2021 2,058
2022 2,019
2023 1,991

日本女性の生涯無子率29.6%(2022年)は世界一で前例がない

日本の女性の生涯無子率 2010年~2022年

女性の場合,再生産年齢の終盤(45~49歳)における無子女性の割合を生涯無子率としてとらえることが多い。

国立社会保障・人口問題研究所

https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19750102_rev.pdf

 

出典データ 国民生活基礎調査厚生労働省

www.e-stat.go.jp

生涯子供がいない女性の割合が日本が一番高い数値であることが今世界中で注目されております。
一般的に女性の生涯無子率は「45歳から49歳」までの女性だけを計測して何%の人が子供がいないかを調査するものです。


日本の長期の無子率は、戦前生まれの女性が10%、その後低くなって1940年代生まれの女性が一番生涯無子率が低くなり底を打ちました。
その後増加に転じて、グラフのように2010年の調査時(1960年~1965年生)の生涯無子率が17.7%になり、2022年(1972年~1977年生)では29.6%になりました。
2010年から3年間隔の統計をグラフ化したものは、生涯無子率が直線的に増加しているのが何かしらの社会的な要因があるからなのでしょう。

 

 

OECD加盟国の生まれた年別の子供なし率のグラフ】

 

 

 

 

 

引用:https://www.oecd.org/els/family/SF_2-5-Childlessness.pdf

 

横軸の年は生まれた年で、縦軸が子供なし率です。

一番目の画像の青線が日本で、他国と比べて上に突き抜けてます。

 

生涯無子率は国によって「40~44歳」を調査したり、OECDの統計が存在しなかったりと統一感がなく比較が難しいです。
そこで各国の調査結果を「45~49歳」、「2022年調査」と仮定して個人判断で補正値にしてみて比較しやすいように目安としてグラフにしました。

 

国別の45~49歳の生涯無子率の補正

日本の女性の生涯無子率29.6%は確かに世界一高い数字ですが、韓国やシンガポールやイタリアと比較して大きな差ではありません。

 

【過去に女性の30%の生涯無子率のデータはなかった】

男性の無子率が高いのは江戸時代などありましたが女性が30%になるのは、国単位では統計上見当たりませんでした。


1890年生まれの女性がドイツ・アメリカで生涯無子率が高かった記録が残されてます。
アメリカ女性で20%、ドイツは「ベルリン」の都市だけの調査ですが40%と高い数字だったようです。
第一次世界大戦の時期というのが原因も考えられますが、恐らく一番の要因は「子供の義務教育」が誕生したことだと思われます。
ドイツでは1900年に女性も学校に通わす義務が発生し、18歳未満を労働させないという罰則ありの法律も出来ました。
急に出来上がった法律に子供を持つことを躊躇した女性がドイツでは増加して、子供を持たない女性は田舎より都市が住みやすいのでベルリンに集中して40%という数字になったと思われます。

 

参照:https://www.ipss.go.jp/publication/e/jinkomon/pdf/16896601.pdf

 

【移民による生涯無子率の緩和】

欧米の国が生涯無子率が日本や韓国ほど高くなっていない理由は移民が多いからです。
移民する人は母国で子供を育てるのを辞めて、移民先の国で子孫を残そうとする出生に対する強い意思があるからだと思います。
2005年の調査ではドイツ女性の生涯無子率が20%でしたが、15年経過した2020年でも21%です。
補正値のグラフで上位の国、日本・韓国・イタリアは単一民族で、移民が少ないことで生涯無子率が高くなっていると思われます。

 

アメリカやイギリスの人種別のデータが見つからない】

アメリカやイギリスやドイツの移民以外の人種で生涯無子率を調べたのですが比較できるデータが見つけられませんでした。

アメリカの白人の人口が2010年にピークを迎え減少に転じているので生涯無子率も高いのではと思ったからです。

アメリカの2020年のデータでは、「白人」「ヒスパニック系」「アジア人」「黒人」に分類して、独身女性の内で何%が子供がいないかという統計結果はあり、アジア人が子供なし率が高かったです。
恐らく先進国では移民を除くと女性の生涯無子率はどの国も20%以上になっているように思うのです。

 

【BirthGap ドキュメンタリー映画

生涯無子率を調べてみようと思ったきっかけは、下記の映像が「BirthGap」というドキュメンタリー映画で使用されていたからです。

 

 

 

Birthgap - Childless World PART 1 (English Version) - YouTube

 

 

子供のいない女性(45~49歳)の割合

2010年 17.7%
2013年 20.9%
2016年 23.6%
2019年 26.8%
2022年 29.6%

いとこ婚・はとこ婚率40%超のイスラム教の国の出生率が高い

国別の近親婚(6親等以内)の割合

近親婚の調査(対象が1,000人以上)をされてた文献を引用しました。

近親婚に関する調査資料が世界的に少なく、各国の年代は統一されてなく日本のは最新で1980年です。

 

 

イスラムの世界で推奨される近親婚】

ビント・アンム婚 - Wikipedia

 

アラブなどの中東地域では伝統的にいとこ同士の結婚が尊重されており、特にビント・アンム(父方おじの娘)との結婚が好ましいと強調される場面が多い

 

出生率2.0以上の国の人口トップ10とイスラム教徒率】

 

  人口(万) 出生率 イスラム教徒
インド 142,860 2.03 14%
インドネシア 27,750 2.17 87%
パキスタン 24,050 3.39 97%
ナイジェリア 22,380 5.3 50%
エチオピア 12,650 4 45%
フィリピン 11,730 2.7 5%
エジプト 11,270 2.8 90%
コンゴ共和国 10,230 4 48%
ベトナム 9,890 2.1 0.1%
タンザニア 6,740 4.8 40%

 

世界の人口上位国で合計特殊出生率が2.0以上の10カ国を比較してみますと、7ヵ国がイスラム教徒が40%以上を占める国でした。

 

 

【世界の近親婚比率のマップ】

近親婚の世界マップ

アラブ人の血族関係(日本語訳)

https://www-ncbi-nlm-nih-gov.translate.goog/pmc/articles/PMC2765422/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

 

 

【日本も近親婚は1947年以前は15%以上だった】

日本の近親婚率の推移

国立人口問題研究所(1983年)

https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/14167909.pdf

 

昭和46年の厚生労働白書では、欧米と比較して日本の近親婚率が高いことを懸念している。

諸外国におげる血族結婚率はアメリカで0.1%,イギリス,オランダ,西ドイツなどの欧州諸国で0.1~0.5%といわれているのに対し,わが国では5~6%といわれ,きわめ
て高い。血族結婚ではいとこ婚か,またいとこ婚の場合が多い。特にいとこ婚では遺伝子の共通性が高いので原則として行なうべきではない

近親婚をした理由を358組に尋ねると、「両親や親類に勧められて」が44%と突出していた

 

 

キリスト教は近親婚を禁止】

gigazine.net

 

【調査対象が1000人以上の文献の近親婚率の一覧】

調査年 人数 近親婚率
日本 1960 1,139 4.2%
日本 1965 1,261 2.9%
日本 1970 1,381 2.6%
日本 1975 1,342 2.3%
日本 1980 1,117 1.1%
パキスタン 1990 6,611 63.0%
パキスタン 2007 7,720 62.0%
パキスタン 2014 1,192 66.4%
イラン 1994 4,667 44.0%
ヨルダン 1992 2,000 50.0%
ヨルダン 2007 3,269 49.0%
エジプト 1983 26,554 29.0%
オマーン 2000 60,635 56.3%
インド 2015 456,646 9.9%
カタール 2009 1,515 54.0%
クウェート 1983 5,007 54.3%
レバノン 1988 2,752 25.0%
パレスチナ 2004 4,971 45.0%
サウジアラビア 1993 2,001 51.3%
サウジアラビア 1995 3,212 57.7%
スーダン 1990 1026 63.3%
シリア 2009 67,958 35.4%
アフガニスタン 2011 7,140 46.2%
トルコ 2003 8,075 22.0%
トルコ 2013 4,913 18.5%
バングラデシュ 2017 55,646 6.6%

 

単一民族の国家ほど出生率が低い

民族率と出生率の関係

単一民族国家とは、ある国家において、特定の民族のみで滞在人口の95%以上(国家内の他民族比率が累計5%未満)を占めている国。

単一民族国家 - Wikipedia

 

各国の「民族第一位グループの占有率」と「合計特殊出生率」で26ヵ国を散布図にしてみました。ただし、農業就業人口率が25%以上の国は出生率が高い為に除外しております。

散布図で赤い枠線で囲ったように、民族占有率が高い右下に行くほど、出生率が低くなっております。

 

 

【民族第一位が90%以上、且つ第一次産業人口率が25%以下の国】

 

  一次産業率 民族率 出生率
ジャマイカ 8% 91% 1.3
日本 3% 97% 1.26
イタリア 4% 91% 1.24
ウクライナ 15% 95% 1.22
中国 24% 92% 1.03
台湾 5% 96% 0.87
韓国 5% 96% 0.78

 

2つの条件に該当した国家は上記の7ヵ国です。

合計特殊出生率に影響する大きな要素として、「第一次産業の就労率」があると考えております。
農業・漁業・林業を営み続けるにあたり、労働力として子供を頼ることで出生数を増やそうとするのが個人の生存戦略になるからです。
日本の戦後の「合計特殊出生率」と「農業・漁業・林業の就労人口率」のグラフを見ても2つは相関しているのが分かります。

 

農林漁就業率と出生率 1951~2022

日本では1951年に農林水産業人口率が46%で合計特殊出生率が3.26人、生産生の高い東京への人口移動が起き、1975年に農林漁業率が13%に低下して出生率が2.0以下になりました。
2022年では農林漁業率は3%で出生率が1.26です。

 

 

【先進国は海外の農村から移住を取り込むことで出生率低下を防いでいる】

日本の農村人口は3%でこれ以上は都市への流入は出来ないほど落ち込んでいます。

多くの先進国は日本と同様に、農業人口率が低下し、出生率が低下しています。

出生率と一次産業人口率の138ヵ国の散布図

上記のグラフは138の国の合計特殊出生率と一次産業の人口率を散布図にしたものです。赤い線は、日本が1951年から2022年に変化した軌跡を直線で引いたもので、おおよそ他国の中間を通るように見えますので、一次産業の人口率というのは文化や人種を超えて合計特殊出生率に影響するものかと思われます。

農村人口率が10%以下になった先進国は出生率を低下させない対策として出来ることは海外の農村から移民を受け入れることです。

 

【移民を増やしても出生率の低下は防げないが緩やかになる】

全体では1.641…アメリカ合衆国の人種別出生率実情(不破雷蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

民族が多様化することで、各民族が刺激を受けて出生率が回復するものなのかという疑問を考えた時に、アメリカの人種毎の出生率の推移の記事が参考になりました。

アメリカでは「白人」「黒人」「アジア人」「ヒスパニック」という分類でどれも出生率は低下しています。

目立った低下を見せているのがアジア人で、日本や中国や韓国の出生率の低下と同じで、住む環境は関係なく不変なのかと思いました。

 

単一民族の国が出生率が低いのは、第一位民族が90%以上では排他的になりやすく他国の人が住みにくいという印象で移民に積極的にはなりにくいマイナス面が作用すると思います。

 

【2022年の日本の合計特殊出生率1.26は統計の不正】

www.tokyo-np.co.jp

最初にグラフにした赤い枠線をみると日本は、民族率が97%なのに出生率が1.26と善戦しているように見えたので、良く調べてみると東京新聞で政府による統計の不正があったという記事があったので紹介しておきます。

出生した子供は日本人も外国人も計算にいれてるのに、母親は外国人を除外することで故意に数字を大きく見せる不正で、本当は2022年の合計特殊出生率は1.18くらいではないかと言われております。