人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

日本の出生数は、毎年35,400人ずつ減少して21年後の2045年には出生数がゼロになる可能性

日本の出生数過去8年の月次 2016年3月~2024年6月

厚生労働省が毎月公表している統計で、「当月を含む過去1年間の出生数」を月次でグラフにしてみました。8年間のグラフですが、綺麗にマイナスの一次関数になっています。近似曲線の傾きは「-2954.4」で出生数が毎月2,954人ずつ減少し年間では35,400人減少する直線となっております。(青線が実数で、赤点線が近似曲線)

2016年6月の過去1年間の出生数は1,027,120人でしたが、2024年6月は737,653人で8年間で29万人の減少になっております。

出生数(過去12ヵ月)人口動態統計速報値

2016年1月 1,034,475
2017年1月 1,008,059
2018年1月 977,662
2019年1月 945,485
2020年1月 896,753
2021年1月 861,753
2022年1月 846,697
2023年1月 796,238
2024年1月 755,653
2025年1月 718,299
2025年10月 705,624

 

日本の出生数 将来予測 2016年~2045年

2016年~2024年の8年間が毎年35,400人ずつ出生数が減少していて、これが将来も続くと仮定すると計算上は21年後の2045年4月に日本の出生数はゼロになります。

「出生数が直線的に減少するはずがない」という常識が先立ちますが、根拠があるのでしょうか?

出生数(過去12ヵ月)2026年以降は推測値

2016年3月 1,034,614
2018年3月 971,047
2020年3月 895,539
2022年3月 842,131
2024年3月 746,958
2026年3月 675,611
2028年3月 604,705
2030年3月 533,799
2032年3月 462,894
2034年3月 391,988
2036年3月 321,083
2038年3月 250,177
2040年3月 179,271
2042年3月 108,366
2044年3月 37,460

 

厚生労働省の2015年の人口予測と実数値】

厚労省の将来推計人口(出生低位)と実績値 2017年発表

厚労省の管轄の国立社会保障・人口問題研究所が2017年に発表したもの(予測は2015年時にされたと思われる)と、2024年までの実績値をグラフにして比較しました。将来推計人口は「出生高位」「出生中位」「出生低位」と3パターンを想定して予測されます。2024年の「出生低位」(最悪のパターン)の予測値は723,000人となってますが、2024年の出生数は686,061人で「出生定位」より下抜けた結果になりました。

 

国立社会保障・人口問題研究所の出生数の将来予測(2015年時点)では2025年からは3,000人ずつしか減少しない予測になっていて、出生数の減少が底打ちするとされています。何故、出生数の減少に歯止めが掛かるのか理由は見つけれませんでした。

 

日本の将来推計人口(平成29年推計)

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf

 

 

厚生労働省の2020年の人口予測】

厚労省の将来推計人口(出生低位)と実績値 2020年

厚労省の管轄の国立社会保障・人口問題研究所が2021年に発表した最新の将来推計人口(出生低位)と実績値のグラフです。この予測は2020年に行われていて新型コロナウィルスの影響を考慮にいれたものになります。「出生低位」「出生中位」「出生高位」のどのパターンでも、2024年には出生数が増加すると予測されています。しかし実際は2024年686,061人の出生数は2023年と比較して「-5.6%」です。更に2025年12月時点での2025年の出生数は665,000人になると予想され、社人研の低位出生数よりも大きく下回ることが確定しています。

厚労省の出生数の予測では2024年に増加に転じて、以降は減少は緩やかで底打ちするとなっていますが、上記のグラフの赤い線が実績値ですが、この落下角度が緩やかになる根拠が示されてなく分からないのです。

 

日本の将来推計人口(令和5年推計)

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_ReportALLc.pdf

 

 

【韓国の出生数も減少が激しく11年後に出生数がゼロになるペース】

韓国の出生数 将来予測

韓国の2023年の出生数は230,000人です。2015年は438,400人だった韓国の出生数は僅か8年で20万人減少でマイナス48%になります。将来このまま出生数が減少すると仮定すると2035年には出生数がゼロになる計算です。

 

 

【中国の出生数も減少が激しく12年後に出生数がゼロになるペース】

中国の出生数 将来予測

中国の2023年の出生数は9,020,000人です。2017年には17,230,000人だった出生数が6年で8,200,000人減少しマイナス48%減ということになります。このまま減少が続くと2036年には中国の出生数はゼロになる計算です。

 

日本も韓国も中国も、コロナ禍で出生数が減少したというグラフにはなってないのが特徴的で、コロナ禍で出生数が減少した訳ではないので、出生数が今後下げ止まる理由が見当たらないと思います。

通勤時間が長いOECD上位国(韓国・中国・日本)は出生率が低い

男性の通勤時間(分) OECD 2009年

OECDの男性の通期時間1999年~2014年平均

Korea 74分
China 56分
Turkey 52分
Japan 50分
Mexico 49分
OECD-26 average 33分

OECDの通勤時間に関する各国のデータ(Chart LMF2.6.A: Average time spent travelling to and from work, 1999-2014a)を見ていて、韓国と中国の男性の通勤時間がOECD29ヵ国データで1位・2位で日本が4位だったので出生率と通勤時間に相関があるのかを調べようと思いました。通勤時間の世界比較のデータが少なく、上記のOECDのも2009年のデータで少し古いので日本国内のデータを調べていきます。

 

【通勤時間と少子化が相関する?】

2022年に内閣府の「少子化対策と出生率に関する研究」で下記のように言及しております。

夫の労働時間との関係では有意な関係がみられないが、夫の通勤時間が長いと出生率を引き下げるという結果が多くなっている。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_rnote/e_rnote070/e_rnote066_01.pdf

 

財務省の少子化対策として、第二子出生と通勤時間に関する資料を発表しております。

通勤時間が1時間増えることは、第2子出生確率が25%減少する

 

通勤時間が短いエリアでも、家賃が高いと乳児の割合が下がる傾向にある。

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2020/jinkou202103_06.pdf

 

内閣府も財務省の資料も「通勤時間」と「出生率の低下」は相関はするが、因果関係や理由は不明だとのことです。

 

【東京圏の平均通勤時間は往復で100分】

通勤時間(分) 2020年 国民生活時間調査
東京圏 100分
10万~30万人都市 77分
5万~10万人都市 72分
5万人未満都市 65分

国民生活時間調査で、2020年の都市規模別で通勤時間を比較すると、人口の多い街ほど通勤時間が長くなっているのが分かります。東京圏の通勤時間が平均で100分という2020年のデータは、通勤をしている人の往復時間の平均になりますので、通勤をしてない人は平均値の計算に含まれません。下記のNHKのサイトから「CSVデータのダウンロード」をすることで「通勤時間」だけでなく日常生活の平均所要時間を閲覧することができます。

国民生活時間調査|NHK放送文化研究所

 

【全国30代男性の25年間の通勤時間の推移】

30代男性の通勤時間(分) 国民生活時間調査

国民生活時間調査で年齢別・性別で通勤時間が最も長いのは30代男性になります。

1995年 80分
2000年 78分
2005年 79分
2010年 77分
2015年 87分
2020年 91分

2010年までは通勤時間の平均(通勤実施者)が80分前後だったのが2020年には92分と増加しております。通勤時間の増加は全国民全体でも2010年以降に増加しております。前述のOECDデータで日本は通勤時間が50分とありますが、2010年の国民生活時間調査で通勤時間の標準偏差という値が53分であるので、OECDの平均値は標準偏差の値だと思われます。

 

【ソウルの会社員は通勤に1時間36分】

2018年の記事で、ソウルでも通勤時の道路が混雑して年々通勤時間が長くなっているというのが下記の記事です。

 

【アメリカも年々通勤時間が増加して、大都市部ほど通勤時間が長い】

上記のグラフは、アメリカのデータで片道の通勤時間になります。日本の30代男性の通勤時間と類似して2010年から増加し始めてます。アメリカでは500万人以上の都市では通勤時間が片道で33分、30万人以下だと22分となっております。

 

【福井市】

福井市は47ある都道府県庁所在地の中で最も合計特殊出生率が高く、通勤時間が短い。福井市では往復の通勤時間が30分未満の割合が75%と高くなっています。

 

前述の財務省の資料では下記のように言及しております。

都市部に限ると全てのコーホートにおいて配偶者の通勤時間が 10 分増加することにより、第二子出生が 4%抑制されることが示唆された。

 

延床面積が 1 平米増加することにより、第二子出生を 3%促進し、完結出生児数を増やす影響があることが示唆された

 

【東京都に住む25~29歳の割合が年々増加】

東京都に住む25~29歳(日本人)の割合

25~29歳の日本人が東京都に住んでいる割合をグラフにしました。2024年は25~29歳の15.2%が東京都に住んでいて、2014年の13%から右肩上がりに上昇を続けてます。若者が東京圏に住む割合が増加するということは、通勤時間の平均が上昇して出生率の低下も相関してくることになります。

 

東京都に住む25~29歳(日本人)の割合 青線:男性 赤線:女性

2024年では25~29歳の男女が東京都に住んでいる割合は15.2%で同じになっています。2008年に1.1%の男女差がありましたが、女性が東京都に進出する人が増えて追いついた状況です。25~29歳女性が東京都に住む率が増加している背景としては、女性の四年生大学の進学率がこの20年間で2倍になったのが大きな要因と思われます。

人工妊娠中絶が禁止されている国は出生数が多い

【アフリカ54ヵ国 出生数が2023年も増加している国】

青の上矢印の国は、2023年時点で出生数がその国の過去最多で増加し続けている国です。赤い下矢印の国は、出生数が減少に向かっている国です。アフリカ54ヵ国では、出生数の増加国は39ヵ国/54ヵ国 、出生数が減少している国は15ヵ国です。

アフリカ54か国で、人工妊娠中絶を「経済的理由や母親の意志」で自由に合法的に選択できる国は、5ヵ国です。(南アフリカモザンビークチュニジア、カーボヴェルデ、サントメ・プリンシペ

人工妊娠中絶が合法の国で、出生数が増加している国は、アフリカではモザンビークの1国だけになります。

 

各国が人工妊娠中絶を合法にしているか否かは下記のwikipediaを参照しています。

人工妊娠中絶法 - Wikipedia

 

 

【中東 出生数が2023年も増加している国】

 

中東の国で2023年も出生数が増加している国は、5か国になります。

ウズベキスタン

アフガニスタン

パキスタン

・イエメン

カタール

この内、人工妊娠中絶が経済的な理由や母親の意志で合法に選択できるのは、ウズベキスタンの1国だけになります。

出生数が2023年で増加しているのは、アフリカの39ヵ国と中東の5ヵ国のみになります。

 

 

【ヨーロッパの国 出生数がピークだった年】

 

ヨーロッパでは出生数が2023年時点で増加している国はありません。出生数がピークだった年を国連のデータからマップにしました。1963年、1964年がピークだった国がイギリス、オランダ、ドイツ、イタリア、オーストリア、スイス、ベルギーと多く目立ちます。

1960年にフランスで「フランス家族計画運動」という中絶の合法化を求める運動が盛んになったり、イギリスでも1960年にAbortion Law Reform Association (ALRA)という中絶法の改正を求めるキャンペーンを強化し1967年に合法化されました。

ヨーロッパでは1960年代に中絶の合法化が盛んになり、出生数がピークを迎えたということになります。

 

ヨーロッパの国(人口100万人以上)で中絶が違法とされているのはポーランドです。カトリック教会の影響が強い国で、2020年10月にポーランド憲法裁判所が中絶は違憲であると判断しました。 

 

【アジアの国 出生数がピークだった年】

 

緑の丸枠の国は、人工妊娠中絶が「経済的理由や母親の意志」で選択できる国です。赤い数字は、出生数がピークだった年になります。人工妊娠中絶が許されてないフィリピン、マレーシア、スリランカバングラデシュは出生数のピークが2000年以降とアジアの中で比較的遅かったのを見ても、人工妊娠中絶が出生数に大きく影響していることがうかがえます。

 

 

【日本の人工妊娠中絶と出生数の関係】

日本の出生数と中絶数の関係 1949年~1970年
  中絶人数 出生数
1949年 101,601 2,697,000
1950年 320,150 2,337,507
1952年 798,193 2,005,162
1954年 1,143,059 1,769,580
1956年 1,159,288 1,665,278
1958年 1,128,231 1,653,469
1960年 1,063,256 1,606,041
1962年 985,351 1,618,616
1964年 878,748 1,716,761
1966年 808,378 1,360,974

何故、日本の第一次ベビーブームが終焉したのかという疑問を調べてみたら、人工妊娠中絶の導入だったと知って、今回の記事を調べてみようと思いました。

 

日本では明治後期から中絶や間引きを法律で禁止することで、富国強兵へと繋げてました。敗戦後に日本の飢餓状態や住宅難状態を考慮して1948年に母体保護法優生保護法が成立して人工妊娠中絶が以降急増しました。

もし人工妊娠中絶が導入されずにいた場合の出生数は1974年まで出生数は毎年270万人前後で減らずに維持した計算になります。 

世界の中絶数の統計を調べてみると、1950年代に年間100万件を超える人工妊娠中絶が起きたのは日本だけでした。日本が人口減少の先駆けと言われる所以は1948年の優生保護法が他国よりも早かったからなのでしょう。

日本人の人口移動(引越し)は2024年が戦後では過去最少

日本人の移動者(市町村間以上)の推移 1954年~2024年
  日本人の引っ越し者数
1994年 6,561,214
1999年 6,186,490
2004年 5,771,921
2009年 5,300,025
2014年 4,908,009
2019年 4,889,191
2024年 4,603,155

住民基本台帳人口移動報告  都道府県内移動者数、他都道府県からの転入者数(移動者、日本人移動者、外国人移動者)2024年 | 政府統計の総合窓口

日本人に限定した、国内での引っ越し件数を調べたところ1973年の853万人をピークにその後下落して2024年が460万人と半減していることが分かりました。(2025年1月31日に2024年分が発表)

1954年以降の統計では日本人の移動者数は2020年が1956年以来の低い数字になり、その後も下落は続いて、2024年は更に減少し続けています。引っ越し人数は政府統計の「都道府県内移動者数」と「都道府県外移動者数」を合計したものになります。

 

今回調べるきっかけとなったのは、2024年に不動産仲介の業界が厳しい局面を迎えている理由として、消費者が引っ越しをしなくなっていると聞いたのでグラフにしてみました。

 

アメリカも引っ越し人数の割合は2023年は人口の7.8%で統計開始の1948年過去最少】

Number of Movers and Mover rate 1948~2021

黒い線が「Mover rate」という人口当たりの移動率で、2023年は過去最少になっています。青い縦棒が移動者の実数ですが移動者も過去最少になっています。

U.S. Migration Continued to Decline From 2020 to 2021

 

【韓国も移動率が減少して2022年は12%】

 

【人口を考慮した日本人の移動率の長期推移】

日本人の移動率(引越)の割合 1955年~2024年

日本人の人口が減少したことで移動数が減ったのではなく、移動率自体が減少して半減しています。1973年に移動者の伸びが止まったのは、地方と東京の賃金格差が1.3倍以下になった為です。地方と東京の賃金格差は1950年代では2倍近くあり、多くの農村の人が東京に移住し人材の需給のバランスが1.3倍になったところで止まったと以前に論文を見たことがあります。

日本人の移動率(引っ越し者数÷人口)

1995年 5.3%
2000年 4.9%
2005年 4.4%
2010年 4.0%
2015年 4.0%
2020年 3.9%
2024年 3.8%

移動率が減少したもう1つの要因としては移動率が高い若年層(20代)の割合が全体の年齢層に比べて減少したこともあります。

 

【日本人の 都道府県内移動 と 都道府県間移動】

日本人の都道府県内移動率と都道府県間移動率 (各年の上半期)

統計では、移動者は「都道府県内」or「都道府県間」であるかを知ることができます。2024年の1~6月のデータを過去と照らし合わせるのに、2015年~2024年の「1~6月」のデータを比較してみました。

赤線が都道府県内の日本人の移動率(各年の上半期)で年々下がってきているのが分かります。対して都道府県を跨ぐ日本人の移動率は大きくは変動してないのが特徴です。2014年より前の移動数は、統計で日本人と外国人を分けたものが見当たらなかったので2015年から2024年の上半期のグラフになります。

  日本人県内 日本人県外
2015年 1.21% 1.15%
2016年 1.19% 1.14%
2017年 1.19% 1.15%
2018年 1.18% 1.15%
2019年 1.17% 1.15%
2020年 1.17% 1.13%
2021年 1.18% 1.14%
2022年 1.16% 1.15%
2023年 1.14% 1.15%
2024年 1.11% 1.13%

 

【日本に住む外国人の移動率は日本人の4.5倍】

2024年1~6月の移動率(日本人と外国人)

2024年の1月~6月までの日本人と外国人の移動数に、日本人口と外国人人口を割ったものを比較しました。移動率は日本人が、半年で2.24%で、外国人が半年で10.29%。年間で換算すると、日本に住む外国人の移動率は約20%になり、1年間に5人に1人は引っ越すということになります。後述しますが、日本人で年間の移動率が20%を超えているのは「22歳」だけになります。

 

【日本人の年間の移動率 年齢別】

年齢別の年間移動率 2023年

統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果 (移動率)

2023年の日本人の移動率18歳が11%、22歳が22.6%でピークとなり、45歳で2.9%、57歳で2%以下になります。

日本人の年齢別の引っ越し率(年間)

0歳 9.5%
5歳 3.4%
10歳 1.5%
15歳 2.4%
20歳 10.8%
25歳 18.7%
30歳 13.5%
35歳 7.6%
40歳 4.4%
45歳 2.9%
50歳 2.3%
55歳 2.0%
60歳 2.0%
65歳 1.3%
70歳 0.9%

 

【人口流動の減少と人口減少はリンクしている】

日本の人口の歴史で、人口爆発があったのは、1600年~1700年と1895年~1950年で、2つの共通点は人間の移動が多かったことだと思います。1600年に江戸幕府が誕生し、江戸に100万人の移住者が発生したり、外様大名の移動があり人口が流動した時期であります。1895年は日清戦争が始まり台湾を併合し朝鮮も併合して大日本帝国が拡大して、人口の流動が活発になり終戦の引き揚げ時も人口流動が発生しました。
ホモサピエンスの長い歴史を見ると、人は流動することで生物学的に発展してきたように思います。

世界の武力紛争は2024年が61地域で1946年以降で最多(ウプサラ紛争データプログラム)

世界の紛争数/年間(25人以上の死者が出た紛争) 1946年~2024年

UCDP - Uppsala Conflict Data Program

ウプサラ紛争データプログラム (UCDP) は、スウェーデンのウプサラ大学に存在する組織的暴力についてのデータ収集プロジェクト。1946年以降武力紛争についての情報を収集しており、同プログラムの年次レポート『States in Armed Confilict』を通じて一般に利用できるようにしています

 

UCDPの武力紛争の定義は、「1年間で25人以上の死者数」が基準となっています。

UCDPデータの紛争は「国vs国」「国vs組織」「国vs組織(外国が参入)」と分類されてるのと、他の機関のデータは「1000人以上の死者数」が基準になっていますが、ウプサラ紛争データでは「25人以上」なので紛争内容が細かく分析されています。

 

 

UCDP(ウプサラ紛争データプログラム)の年間の紛争件数をグラフにしたのが前述のもので、2024年では61地域で統計開始の1946年以降では過去最多となっています。1946年以降の紛争数のグラフの推移を見ると1991年が一度ピークを迎えてますが、米ソ冷戦が終結してソビエト崩壊に伴う大国による圧力がなくなったことで、民族間の紛争が激化して1991年は52件になりました。2024年がピークを迎えたとのを1991年と照らし合わせると、大国による抑圧が無くなってきていることで世界各地で紛争の数が多くなっているのかもしれません。

 

【武力紛争による死者数】

世界の紛争による死者数/年間 1989年~2023年

武力紛争での死者数の統計は、ウプサラ紛争データプログラムでは1989年開始となっていて、最多は1994年の824,132人でルワンダで大量虐殺があり77万人が1国で死亡したとされています。それに次ぐのが2022年で死者数は311,325人で、半数がロシアとウクライナの戦争によるものです。

 

終結した紛争数は2023年は0件で1946年統計開始以降初めて】

終結した紛争数/年間 1994年~2023年

ウプサラ紛争データプログラムでは、終結した日を見ることが出来るので、各年で何件の紛争が終結してたか調べたところ、1946年の統計開始以降では2023年は初の0件でした。上記のグラフは直近30年の紛争終結数で、1994年~2022年では平均の年間の紛争終結数は9件になります。2023年の世界での紛争が59件と過去最多になった一つの要因として、終結が2023年は0件だったことが挙げられます。

 

イスラム教が関係した武力紛争の数は10年で2倍】

イスラム教関連の紛争数/年間 2007年~2023年

UCDP紛争データから、イスラム教が関連した紛争をグラフにしてみると、2013年は21件だったのが2023年には40件と2倍になって過去最多となっております。イスラム教徒が95%以上の国家、若しくはイスラム教の組織集団が当事者であった紛争が倍増していることで、世界の武力紛争の数を押し上げてるように見えます。

 

【世界の紛争数 1946年~2023年 データ】

  紛争数
1946年 17
1947年 14
1948年 20
1949年 21
1950年 18
1951年 14
1952年 14
1953年 16
1954年 15
1955年 13
1956年 17
1957年 17
1958年 18
1959年 16
1960年 15
1961年 21
1962年 20
1963年 20
1964年 25
1965年 27
1966年 28
1967年 33
1968年 26
1969年 29
1970年 26
1971年 29
1972年 26
1973年 26
1974年 28
1975年 30
1976年 32
1977年 36
1978年 38
1979年 41
1980年 41
1981年 42
1982年 44
1983年 43
1984 42
1985年 38
1986年 44
1987年 46
1988年 39
1989年 41
1990年 49
1991年 52
1992年 51
1993年 43
1994年 50
1995年 41
1996年 41
1997年 39
1998年 39
1999年 40
2000年 39
2001年 38
2002年 32
2003年 33
2004年 33
2005年 32
2006年 33
2007年 34
2008年 38
2009年 36
2010年 31
2011年 37
2012年 32
2013年 39
2014年 46
2015年 53
2016年 53
2017年 52
2018年 51
2019年 55
2020年 52
2021年 54
2022年 56
2023年

59

 

【紛争による死者数のデータ】

  死者数
1989年 67,724
1990年 95,783
1991年 84,391
1992年 79,096
1993年 74,237
1994年 824,132
1995年 72,564
1996年 62,855
1997年 87,956
1998年 67,264
1999年 61,645
2000年 100,578
2001年 94,250
2002年 38,296
2003年 41,897
2004年 40,887
2005年 36,785
2006年 20,611
2007年 27,701
2008年 28,770
2009年 39,670
2010年 50,524
2011年 34,141
2012年 41,263
2013年 90,713
2014年 115,163
2015年 151,438
2016年 131,752
2017年 115,733
2018年 113,280
2019年 89,663
2020年 79,623
2021年 105,802
2022年 311,325
2023年 154,620

 

終結した紛争数/年間 データ】

  終結紛争数
1946年 7
1947年 3
1948年 7
1949年 6
1950年 6
1951年 2
1952年 2
1953年 5
1954年 5
1955年 1
1956年 6
1957年 4
1958年 5
1959年 5
1960年 2
1961年 6
1962年 9
1963年 5
1964年 4
1965年 6
1966年 5
1967年 7
1968年 4
1969年 4
1970年 5
1971年 7
1972年 6
1973年 6
1974年 6
1975年 4
1976年 3
1977年 3
1978年 8
1979年 5
1980年 5
1981年 7
1982年 9
1983年 6
1984 7
1985年 1
1986年 3
1987年 8
1988年 11
1989年 8
1990年 15
1991年 16
1992年 18
1993年 10
1994年 15
1995年 13
1996年 15
1997年 8
1998年 9
1999年 10
2000年 6
2001年 9
2002年 6
2003年 7
2004年 10
2005年 4
2006年 5
2007年 3
2008年 9
2009年 8
2010年 5
2011年 10
2012年 6
2013年 5
2014年 11
2015年 15
2016年 14
2017年 13
2018年 8
2019年 10
2020年 14
2021年 6
2022年 7
2023年 0

 

イスラム関連の紛争数 データ】

  全紛争 イスラム紛争 イスラム割合
2007年 35 13 37%
2008年 38 16 42%
2009年 37 17 46%
2010年 31 16 52%
2011年 37 19 51%
2012年 33 20 61%
2013年 39 21 54%
2014年 46 26 57%
2015年 54 36 67%
2016年 54 34 63%
2017年 53 35 66%
2018年 51 36 71%
2019年 55 38 69%
2020年 56 36 64%
2021年 54 35 65%
2022年 56 38 68%
2023年 59 40 68%