人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

日本の出生数は、毎年35,400人ずつ減少して21年後の2045年には出生数がゼロになる可能性

日本の出生数過去1年の月次 2016年3月~2024年6月

厚生労働省が毎月公表している統計で、「当月を含む過去1年間の出生数」を月次でグラフにしてみました。8年間のグラフですが、綺麗にマイナスの一次関数になっています。近似曲線の傾きは「-2954.4」で出生数が毎月2,954人ずつ減少し年間では35,400人減少する直線となっております。(青線が実数で、赤点線が近似曲線)

2016年6月の過去1年間の出生数は1,027,120人でしたが、2024年6月は737,653人で8年間で29万人の減少になっております。

 

 

日本の出生数 将来予測 2016年~2045年

2016年~2024年の8年間が毎年35,400人ずつ出生数が減少していて、これが将来も続くと仮定すると計算上は21年後の2045年4月に日本の出生数はゼロになります。

「出生数が直線的に減少するはずがない」というのは根拠があるのでしょうか?

 

 

厚生労働省の2015年の人口予測と実数値】

厚労省の将来推計人口(出生低位)と実績値 2017年発表

厚労省の管轄の国立社会保障・人口問題研究所が2017年に発表したもの(予測は2015年時にされたと思われる)と、2024年までの実績値をグラフにして比較しました。将来推計人口は「出生高位」「出生中位」「出生低位」と3パターンを想定して予測されます。2024年の「出生低位」(最悪のパターン)の予測値は723,000人となってますが、2024年6月時点で2024年の出生数を推計すると720,000人以下になる可能性が高いです。

 

国立社会保障・人口問題研究所の出生数の将来予測(2015年時点)では2025年からは3,000人ずつしか減少しない予測になっていて、出生数の減少が底打ちするとされています。何故、出生数の減少に歯止めが掛かるのか理由は見つけれませんでした。

 

日本の将来推計人口(平成29年推計)

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf

 

 

厚生労働省の2020年の人口予測】

厚労省の将来推計人口(出生低位)と実績値 2020年

厚労省の管轄の国立社会保障・人口問題研究所が2021年に発表した最新の将来推計人口(出生低位)と実績値のグラフです。この予測は2020年に行われていて新型コロナウィルスの影響を考慮にいれたものになります。「出生低位」「出生中位」「出生高位」のどのパターンでも、2024年には出生数が増加すると予測されています。しかし実際は2024年上半期の出生数は2023年上半期と比較して「-5.7%」です。

 

厚労省の出生数の予測では2024年に増加に転じて、以降は減少は緩やかで底打ちするとなっていますが、上記のグラフの赤い線が実績値ですが、この落下角度が緩やかになる根拠が分からないのです。

 

日本の将来推計人口(令和5年推計)

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_ReportALLc.pdf

 

 

【韓国の出生数も減少が激しく11年後に出生数がゼロになるペース】

韓国の出生数 将来予測

韓国の2023年の出生数は230,000人です。2015年は438,400人だった韓国の出生数は僅か8年で20万人減少でマイナス48%になります。将来このまま出生数が減少すると仮定すると2035年には出生数がゼロになる計算です。

 

 

【中国の出生数も減少が激しく12年後に出生数がゼロになるペース】

中国の出生数 将来予測

中国の2023年の出生数は9,020,000人です。2017年には17,230,000人だった出生数が6年で8,200,000人減少しマイナス48%減ということになります。このまま減少が続くと2036年には中国の出生数はゼロになる計算です。

 

日本も韓国も中国も、コロナ禍で出生数が減少したというグラフにはなってないのが特徴的で、コロナ禍で出生数が減少した訳ではないので、出生数が今後下げ止まる理由が見当たらないと思います。

詐欺の被害認知件数が2024年7月が過去最多5,184件/月

詐欺の被害認知件数 月間(警察庁

詐欺の月間認知件数(直近2年)

2022/7 2,646
2022/8 3,463
2022/9 3,518
2022/10 3,607
2022/11 3,823
2022/12 4,561
2023/1 3,170
2023/2 3,350
2023/3 3,907
2023/4 3,452
2023/5 3,644
2023/6 3,811
2023/7 3,619
2023/8 3,949
2023/9 4,024
2023/10 4,242
2023/11 4,264
2023/12 4,579
2024/1 3,577
2024/2 3,573
2024/3 5,065
2024/4 5,030
2024/5 5,081
2024/6 4,869
2024/7 5,184

犯罪統計 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

 

警察庁が毎月統計で公開している「犯罪統計」で「詐欺」の項目の被害認知件数をグラフにしました。詐欺の月間の被害認知件数は2024年7月は5184件で過去最多となってしまってます。

SNS型投資詐欺がメディアで注目され逮捕者も多く、詐欺の抑制になっているように見えても、未だに被害認知件数は増加している状況です。2023年が詐欺の被害額が1625億円で過去最多でしたが、2024年はそれを上回る可能性が高くなっています。

 

jinkougenshou.com

 

【現職の警察官もSNS型投資詐欺で被害にあった】

兵庫県警の本部警備部の40代男性警察官が、2024年6月に870万円のSNS型投資詐欺に遭いました。特殊詐欺・SNS型投資詐欺合わせて、兵庫県警の警察官が被害に遭うのは「初」とのこと。

兵庫県警の巡査部長「手口にうとかった」SNS型投資詐欺で870万円被害 送金のため740万円借金し注意処分|社会|神戸新聞NEXT

 

現職の40代の警察官でもSNS型投資詐欺に騙されてしまうのかと意外に思い、詐欺の被害者の年代別で直近のデータを整理してみました。

 

 

【2024年の詐欺被害が多いのは60代で次が20代】

詐欺の被害の率(10万人当たり) 年代別 2024年

犯罪統計で、詐欺の被害に遭った年代別人数を人口で割って、10万人当たりの詐欺被害の月間人数を直近12ヶ月をグラフにしました。60代が2024年7月で4.9人/10万人当たりで一番詐欺の被害率が多い年代です。次に多いのが意外ですが20代で、一番被害が少ないのは70代で3.6人/10万人当たりです。

詐欺被害に遭う方は70代が一番多いと思っていたのですが、恐らく70代以上だとSNSを利用しないので低いのかもしれません。

 

 

【詐欺の検挙人員は減少してしまっている】

詐欺の検挙人員 各年1~7月

警察庁の犯罪統計で、各年で1~7月の詐欺の検挙人員を過去4年間で比較すると2024年が一番少ない状況です。被害認知件数が一番多いのに検挙人数が一番少ないのが詐欺の手口の巧妙さが増しているのを物語っています。

  検挙人数
2021年1~7月 5,398人
2022年1~7月 5,646人
2023年1~7月 5,314人
2024年1~7月 4,942人

 

 

通勤時間が長いOECD上位国(韓国・中国・日本)は出生率が低い

男性の通勤時間(分) OECD 2009年

 

OECDの通勤時間に関する各国のデータを見ていて、韓国と中国の男性の通勤時間がOECD29ヵ国データで1位・2位で日本が4位だったので出生率と通勤時間に相関があるのかを調べようと思いました。通勤時間の世界比較のデータが少なく、上記のOECDのも2009年のデータで少し古いので日本国内のデータを調べていきます。

 

 

【通勤時間と少子化が相関する?】

2022年に内閣府の「少子化対策出生率に関する研究」で下記のように言及しております。

夫の労働時間との関係では有意な関係がみられないが、夫の通勤時間が長いと出生率を引き下げるという結果が多くなっている。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_rnote/e_rnote070/e_rnote066_01.pdf

 

財務省少子化対策として、第二子出生と通勤時間に関する資料を発表しております。

通勤時間が1時間増えることは、第2子出生確率が25%減少する

 

通勤時間が短いエリアでも、家賃が高いと乳児の割合が下がる傾向にある。

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2020/jinkou202103_06.pdf

 

内閣府財務省の資料も「通勤時間」と「出生率の低下」は相関はするが、因果関係や理由は不明だとのことです。

 

 

【東京圏の平均通勤時間は往復で100分】

通勤時間(分) 2020年 国民生活時間調査

国民生活時間調査で、2020年の都市規模別で通勤時間を比較すると、人口の多い街ほど通勤時間が長くなっているのが分かります。東京圏の通勤時間が平均で100分という2020年のデータは、通勤をしている人の往復時間の平均になりますので、通勤をしてない人は平均値の計算に含まれません。

国民生活時間調査|NHK放送文化研究所

 

 

【全国30代男性の25年間の通勤時間の推移】

30代男性の通勤時間(分) 国民生活時間調査

国民生活時間調査で年齢別・性別で通勤時間が最も長いのは30代男性になります。

1995年:80分

2000年:78分

2005年:79分

2010年:77分

2015年:87分

2020年:92分

2010年までは通勤時間の平均(通勤実施者)が80分前後だったのが2020年には92分と増加しております。通勤時間の増加は全国民全体でも2010年以降に増加しております。前述のOECDデータで日本は通勤時間が50分とありますが、2010年の国民生活時間調査で通勤時間の標準偏差という値が53分であるので、OECDの平均値は標準偏差の値だと思われます。

 

 

【ソウルの会社員は通勤に1時間36分】

2018年の記事で、ソウルでも通勤時の道路が混雑して年々通勤時間が長くなっているというのが下記の記事です。

ソウルの会社員は通勤に1時間36分、全国最長 | 東亜日報

 

 

アメリカも年々通勤時間が増加して、大都市部ほど通勤時間が長い】

上記のグラフは、アメリカのデータで片道の通勤時間になります。日本の30代男性の通勤時間と類似して2010年から増加し始めてます。アメリカでは500万人以上の都市では通勤時間が片道で33分、30万人以下だと22分となっております。

 

 

福井市

福井市は47ある都道府県庁所在地の中で最も合計特殊出生率が高く、通勤時間が短い。福井市では往復の通勤時間が30分未満の割合が75%と高くなっています。

 

前述の財務省の資料では下記のように言及しております。

都市部に限ると全てのコーホートにおいて配偶者の通勤時間が 10 分増加することにより、第二子出生が 4%抑制されることが示唆された。

 

延床面積が 1 平米増加することにより、第二子出生を 3%促進し、完結出生児数を増やす影響があることが示唆された

 

 

【東京都に住む25~29歳の割合が年々増加】

東京都に住む25~29歳(日本人)の割合

25~29歳の日本人が東京都に住んでいる割合をグラフにしました。2024年は25~29歳の15.2%が東京都に住んでいて、2014年の13%から右肩上がりに上昇を続けてます。若者が東京圏に住む割合が増加するということは、通勤時間の平均が上昇して出生率の低下も相関してくることになります。

 

東京都に住む25~29歳(日本人)の割合 青線:男性 赤線:女性

2024年では25~29歳の男女が東京都に住んでいる割合は15.2%で同じになっています。2008年に1.1%の男女差がありましたが、女性が東京都に進出する人が増えて追いついた状況です。25~29歳女性が東京都に住む率が増加している背景としては、女性の四年生大学の進学率がこの20年間で2倍になったのが大きな要因と思われます。

人工妊娠中絶が禁止されている国は出生数が多い

【アフリカ54ヵ国 出生数が2023年も増加している国】

青の上矢印の国は、2023年時点で出生数がその国の過去最多で増加し続けている国です。赤い下矢印の国は、出生数が減少に向かっている国です。アフリカ54ヵ国では、出生数の増加国は39ヵ国/54ヵ国 、出生数が減少している国は15ヵ国です。

アフリカ54か国で、人工妊娠中絶を「経済的理由や母親の意志」で自由に合法的に選択できる国は、5ヵ国です。(南アフリカモザンビークチュニジア、カーボヴェルデ、サントメ・プリンシペ

人工妊娠中絶が合法の国で、出生数が増加している国は、アフリカではモザンビークの1国だけになります。

 

各国が人工妊娠中絶を合法にしているか否かは下記のwikipediaを参照しています。

人工妊娠中絶法 - Wikipedia

 

 

【中東 出生数が2023年も増加している国】

 

中東の国で2023年も出生数が増加している国は、5か国になります。

ウズベキスタン

アフガニスタン

パキスタン

・イエメン

カタール

この内、人工妊娠中絶が経済的な理由や母親の意志で合法に選択できるのは、ウズベキスタンの1国だけになります。

出生数が2023年で増加しているのは、アフリカの39ヵ国と中東の5ヵ国のみになります。

 

 

【ヨーロッパの国 出生数がピークだった年】

 

ヨーロッパでは出生数が2023年時点で増加している国はありません。出生数がピークだった年を国連のデータからマップにしました。1963年、1964年がピークだった国がイギリス、オランダ、ドイツ、イタリア、オーストリア、スイス、ベルギーと多く目立ちます。

1960年にフランスで「フランス家族計画運動」という中絶の合法化を求める運動が盛んになったり、イギリスでも1960年にAbortion Law Reform Association (ALRA)という中絶法の改正を求めるキャンペーンを強化し1967年に合法化されました。

ヨーロッパでは1960年代に中絶の合法化が盛んになり、出生数がピークを迎えたということになります。

 

ヨーロッパの国(人口100万人以上)で中絶が違法とされているのはポーランドです。カトリック教会の影響が強い国で、2020年10月にポーランド憲法裁判所が中絶は違憲であると判断しました。

ポーランド、人工妊娠中絶がほぼ全面禁止に 首都で抗議のデモ - CNN.co.jp

 

 

【アジアの国 出生数がピークだった年】

 

緑の丸枠の国は、人工妊娠中絶が「経済的理由や母親の意志」で選択できる国です。赤い数字は、出生数がピークだった年になります。人工妊娠中絶が許されてないフィリピン、マレーシア、スリランカバングラデシュは出生数のピークが2000年以降とアジアの中で比較的遅かったのを見ても、人工妊娠中絶が出生数に大きく影響していることがうかがえます。

 

 

【日本の人工妊娠中絶と出生数の関係】

日本の出生数と中絶数の関係 1949年~1970年

何故、日本の第一次ベビーブームが終焉したのかという疑問を調べてみたら、人工妊娠中絶の導入だったと知って、今回の記事を調べてみようと思いました。

 

日本では明治後期から中絶や間引きを法律で禁止することで、富国強兵へと繋げてました。敗戦後に日本の飢餓状態や住宅難状態を考慮して1948年に母体保護法優生保護法が成立して人工妊娠中絶が以降急増しました。

 

下記の記事にある通り、もし人工妊娠中絶が導入されずにいた場合の出生数は1974年まで出生数は毎年270万人前後で減らずに維持した計算になります。

www.sankei.com

世界の中絶数の統計を調べてみると、1950年代に年間100万件を超える人工妊娠中絶が起きたのは日本だけでした。日本が人口減少の先駆けと言われる所以は1948年の優生保護法が他国よりも早かったからなのでしょう。

 

【使用した出生数 国連データ】

World Population Prospects - Population Division - United Nations

日本人の人口移動(引越し)は2024年が戦後では過去最少

日本人の移動者(市町村間以上)の推移 1954年~2024年

ソース:統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果

第2表 男女別移動者数、都道府県内移動者数及び都道府県間移動者数の推移-全国(移動者(日本人及び外国人)、日本人移動者)、外国人移動者)(1954年~2023年)

 

日本人に限定した、国内での引っ越し件数を調べたところ1973年の853万人をピークにその後下落して2024年が456万人と半減していることが分かりました。

1954年以降の統計では日本人の移動者数は2020年が1956年以来の低い数字になり、その後も下落は続いて、2024年は更に減少しています。

 

今回調べるきっかけとなったのは、2024年に不動産仲介の業界が厳しい局面を迎えている理由として、消費者が引っ越しをしなくなっていると聞いたのでグラフにしてみました。

 

 

アメリカも引っ越し人数の割合は2023年は人口の7.8%で統計開始の1948年過去最少】

Number of Movers and Mover rate 1948~2021

黒い線が「Mover rate」という人口当たりの移動率で、2023年は過去最少になっています。青い縦棒が移動者の実数ですが移動者も過去最少になっています。

U.S. Migration Continued to Decline From 2020 to 2021

 

 

【韓国も移動率が減少して2022年は12%】

全国の移動者数615万2000人に減少 | グラフで見る韓国経済 | ニュース | 東洋経済日報

 

 

【人口を考慮した日本人の移動率の長期推移】

日本人の移動率(引越)の割合 1955年~2024年

日本人の人口が減少したことで移動数が減ったのではなく、移動率自体が減少して半減しています。1973年に移動者の伸びが止まったのは、地方と東京の賃金格差が1.3倍以下になった為です。地方と東京の賃金格差は1950年代では2倍近くあり、多くの農村の人が東京に移住し人材の需給のバランスが1.3倍になったところで止まったと以前に論文を見たことがあります。

移動率が減少したもう1つの要因としては移動率が高い若年層(20代)の割合が減少したこともあります。

 

 

【日本人の 都道府県内移動 と 都道府県間移動】

日本人の都道府県内移動率と都道府県間移動率 (各年の上半期)

統計では、移動者は「都道府県内」or「都道府県間」であるかを知ることができます。2024年の1~6月のデータを過去と照らし合わせるのに、2015年~2024年の「1~6月」のデータを比較してみました。

赤線が都道府県内の日本人の移動率(各年の上半期)で年々下がってきているのが分かります。対して都道府県を跨ぐ日本人の移動率は大きくは変動してないのが特徴です。2014年より前の移動数は、統計で日本人と外国人を分けたものが見当たらなかったので2015年から2024年の上半期のグラフになります。

 

 

【日本に住む外国人の移動率は日本人の4.5倍】

2024年1~6月の移動率(日本人と外国人)

2024年の1月~6月までの日本人と外国人の移動数に、日本人口と外国人人口を割ったものを比較しました。移動率は日本人が、半年で2.24%で、外国人が半年で10.29%。年間で換算すると、日本に住む外国人の移動率は約20%になり、1年間に5人に1人は引っ越すということになります。後述しますが、日本人で年間の移動率が20%を超えているのは「22歳」だけになります。

 

 

【日本人の年間の移動率 年齢別】

年齢別の年間移動率 2023年

統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果 (移動率)

 

2023年の日本人の移動率18歳が11%、22歳が22.6%でピークとなり、45歳で2.9%、57歳で2%以下になります。

 

 

【人口流動の減少と人口減少はリンクしている】

日本の人口の歴史で、人口爆発があったのは、1600年~1700年と1895年~1950年で、2つの共通点は人間の移動が多かったことだと思います。1600年に江戸幕府が誕生し、江戸に100万人の移住者が発生したり、外様大名の移動があり人口が流動した時期であります。1895年は日清戦争が始まり台湾を併合し朝鮮も併合して大日本帝国が拡大して、人口の流動が活発になり終戦の引き揚げ時も人口流動が発生しました。
ホモサピエンスの長い歴史を見ると、人は流動することで生物学的に発展してきたように思います。

世界の武力紛争は2023年が59地域で1946年以降で最多(イスラムが10年で2倍)

世界の紛争数/年間(25人以上の死者が出た紛争) 1946年~2023年

UCDP - Uppsala Conflict Data Program

ウプサラ紛争データプログラム (UCDP) は、スウェーデンのウプサラ大学に存在する組織的暴力についてのデータ収集プロジェクト。1946年以降武力紛争についての情報を収集しており、同プログラムの年次レポート『States in Armed Confilict』を通じて一般に利用できるようにしています

 

UCDPの武力紛争の定義は、「1年間で25人以上の死者数」が基準となっています。

UCDPデータの紛争は「国vs国」「国vs組織」「国vs組織(外国が参入)」と分類されてるのと、他の機関のデータは「1000人以上の死者数」が基準になっていますが、ウプサラ紛争データでは「25人以上」なので紛争内容が細かく分析されています。

 

 

UCDPの年間の紛争件数をグラフにしたのが前述のもので、2023年では59地域で統計開始の1946年以降では過去最多となっています。1946年以降の紛争数のグラフの推移を見ると1991年が一度ピークを迎えてますが、米ソ冷戦が終結してソビエト崩壊に伴う大国による圧力がなくなったことで、民族間の紛争が激化して1991年は52件になりました。2023年がピークを迎えたとのを1991年と照らし合わせると、大国による抑圧が無くなってきていることで世界各地で紛争の数が多くなっているのかもしれません。

 

 

【武力紛争による死者数】

世界の紛争による死者数/年間 1989年~2023年

武力紛争での死者数の統計は、UCDPでは1989年開始となっていて、最多は1994年の824,132人でルワンダで大量虐殺があり77万人が1国で死亡したとされています。それに次ぐのが2022年で死者数は311,325人で、半数がロシアとウクライナの戦争によるものです。

 

 

終結した紛争数は2023年は0件で1946年統計開始以降初めて】

終結した紛争数/年間 1994年~2023年

UCDP紛争データでは、終結した日を見ることが出来るので、各年で何件の紛争が終結してたか調べたところ、1946年の統計開始以降では2023年は初の0件でした。上記のグラフは直近30年の紛争終結数で、1994年~2022年では平均の年間の紛争終結数は9件になります。2023年の世界での紛争が59件と過去最多になった一つの要因として、終結が2023年は0件だったことが挙げられます。

 

 

イスラム教が関係した武力紛争の数は10年で2倍】

イスラム教関連の紛争数/年間 2007年~2023年

UCDP紛争データから、イスラム教が関連した紛争をグラフにしてみると、2013年は21件だったのが2023年には40件と2倍になって過去最多となっております。イスラム教徒が95%以上の国家、若しくはイスラム教の組織集団が当事者であった紛争が倍増していることで、世界の武力紛争の数を押し上げてるように見えます。

 

 

【世界の紛争数 1946年~2023年 データ】

  紛争数
1946年 17
1947年 14
1948年 20
1949年 21
1950年 18
1951年 14
1952年 14
1953年 16
1954年 15
1955年 13
1956年 17
1957年 17
1958年 18
1959年 16
1960年 15
1961年 21
1962年 20
1963年 20
1964年 25
1965年 27
1966年 28
1967年 33
1968年 26
1969年 29
1970年 26
1971年 29
1972年 26
1973年 26
1974年 28
1975年 30
1976年 32
1977年 36
1978年 38
1979年 41
1980年 41
1981年 42
1982年 44
1983年 43
1984 42
1985年 38
1986年 44
1987年 46
1988年 39
1989年 41
1990年 49
1991年 52
1992年 51
1993年 43
1994年 50
1995年 41
1996年 41
1997年 39
1998年 39
1999年 40
2000年 39
2001年 38
2002年 32
2003年 33
2004年 33
2005年 32
2006年 33
2007年 34
2008年 38
2009年 36
2010年 31
2011年 37
2012年 32
2013年 39
2014年 46
2015年 53
2016年 53
2017年 52
2018年 51
2019年 55
2020年 52
2021年 54
2022年 56
2023年

59

 

【紛争による死者数のデータ】

  死者数
1989年 67,724
1990年 95,783
1991年 84,391
1992年 79,096
1993年 74,237
1994年 824,132
1995年 72,564
1996年 62,855
1997年 87,956
1998年 67,264
1999年 61,645
2000年 100,578
2001年 94,250
2002年 38,296
2003年 41,897
2004年 40,887
2005年 36,785
2006年 20,611
2007年 27,701
2008年 28,770
2009年 39,670
2010年 50,524
2011年 34,141
2012年 41,263
2013年 90,713
2014年 115,163
2015年 151,438
2016年 131,752
2017年 115,733
2018年 113,280
2019年 89,663
2020年 79,623
2021年 105,802
2022年 311,325
2023年 154,620

 

終結した紛争数/年間 データ】

  終結紛争数
1946年 7
1947年 3
1948年 7
1949年 6
1950年 6
1951年 2
1952年 2
1953年 5
1954年 5
1955年 1
1956年 6
1957年 4
1958年 5
1959年 5
1960年 2
1961年 6
1962年 9
1963年 5
1964年 4
1965年 6
1966年 5
1967年 7
1968年 4
1969年 4
1970年 5
1971年 7
1972年 6
1973年 6
1974年 6
1975年 4
1976年 3
1977年 3
1978年 8
1979年 5
1980年 5
1981年 7
1982年 9
1983年 6
1984 7
1985年 1
1986年 3
1987年 8
1988年 11
1989年 8
1990年 15
1991年 16
1992年 18
1993年 10
1994年 15
1995年 13
1996年 15
1997年 8
1998年 9
1999年 10
2000年 6
2001年 9
2002年 6
2003年 7
2004年 10
2005年 4
2006年 5
2007年 3
2008年 9
2009年 8
2010年 5
2011年 10
2012年 6
2013年 5
2014年 11
2015年 15
2016年 14
2017年 13
2018年 8
2019年 10
2020年 14
2021年 6
2022年 7
2023年 0

 

イスラム関連の紛争数 データ】

  全紛争 イスラム紛争 イスラム割合
2007年 35 13 37%
2008年 38 16 42%
2009年 37 17 46%
2010年 31 16 52%
2011年 37 19 51%
2012年 33 20 61%
2013年 39 21 54%
2014年 46 26 57%
2015年 54 36 67%
2016年 54 34 63%
2017年 53 35 66%
2018年 51 36 71%
2019年 55 38 69%
2020年 56 36 64%
2021年 54 35 65%
2022年 56 38 68%
2023年 59 40 68%

単独世帯率25%以上の国は合計特殊出生率2.0未満

単独世帯率(横軸)と合計特殊出生率(縦軸) 107ヵ国

単独世帯率とは、「単独世帯数」÷「全世帯数」になります。

単独世帯率は国連が公表している107ヵ国のデータの中で新しい値を参照しました。

https://www.un.org/development/desa/pd/data/household-size-and-composition

上記URLの「dataset」のリンクでエクセルが開きます。

この中の「households by size one member」という項目が「単独世帯率」になります。

縦軸は、単独世帯率を調査した年のその国の合計特殊出生率を対比させました。

 

「単独世帯率」と「合計特殊出生率」の散布図を見ますと、単独世帯率が25%以上の国で合計特殊出生率が2.0以上の国はなく、人口を維持出来ない国ということになります。

 

 

【日本の単独世帯率は2023年が過去最高で34%】

日本の単独世帯率の推移 1992年~2023年

厚生労働省データ

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/02.pdf

 

  単独世帯率
1992年 21.8%
1995年 22.6%
1998年 23.9%
2001年 24.1%
2004年 23.4%
2007年 25.0%
2010年 25.5%
2013年 26.5%
2016年 27.1%
2019年 28.8%
2021年 29.5%
2023年 34.0%

 

日本の単独世帯率は、ヨーロッパ(40%前後)と比較すると低く、韓国と同じくらいです。グラフを見ても分かりますが、2023年に急激に単独世帯率が増えました。

2023年に単独世帯率が増加した理由を計算してみると、「64歳以下」「65歳以上」で分けると、2023年の急激な上昇は「64歳以下」が単独世帯率の増加に大きく寄与しているのが分かりました。

 

日本の単独世帯率 「65歳以上」と「64歳以下」 1986年~2023年

 

 

【世界中の過去500年間の単独世帯率】

 

Loneliness and Social Connections - Our World in Data

 

このグラフは、歴史家キース・スネルの論文を改変したもので、入手可能な歴史的記録と最近の国勢調査データから抜粋して、さまざまな場所と時代における単身世帯の割合の推定値を示しています。各点は、ヨーロッパ、北米、日本、または英国の 1 つの集落の推定値に対応しています。

 

18近世から 19 世紀にかけて、単独世帯の割合はほぼ一定で、通常は 10% 未満でした。その後、20 世紀に増加が始まり、1960 年代に加速しました。

 

現在の一人暮らし世帯の普及率は、歴史上前例のないものです。このグラフで記録された最高点は、2012 年のストックホルムで、世帯の 60% が一人暮らし世帯です。

 

グラフを見ますと1730年に日本の「Nishinomiya」とあり単独世帯率が8%くらいだったのが分かります。

 

 

【単独世帯率が低い国TOP10は全てイスラム教】

単独世帯率が低い国TOP10

前述の国連のデータで単独世帯率が低い順に並べると、1位から10位まではイスラム教の国になり3%以下でした。単独世帯率の調査年が10年くらいばらつきがありますが、イスラム教の国は極端に単独世帯率が低くなってますし、時代を経ても増加してないように見えます。

 

  単独世帯率 イスラム教徒率
アフガニスタン 0.2% 99%
イラク 1.0% 97%
パキスタン 1.1% 96%
ソマリア 1.5% 100%
アルジェリア 1.6% 99%
スーダン 1.6% 97%
イエメン 1.9% 100%
ウズベキスタン 2.3% 93%
シリア 2.4% 87%
バングラデシュ 2.9% 90%

 

イスラム教の国が単独世帯率が低い理由を調べた結果は下記のようになりました。

1. 家族の絆を重視するコーラン預言者ムハンマドの教え

2.イスラム教圏では、複数世代が同居する拡大家族制度が伝統的に根付いている

3.イスラム教では結婚が奨励され、独身でいることはあまり好ましくない

4.公的な社会保障制度が十分に整っていない

5.経済的理由から単独で生活するよりも家族と同居することで生活費を抑えれる

 

【単独世帯率と合計特殊出生率 107ヵ国のデータ】

  調査年 単独世帯率 合計特殊出生率
Afghanistan 2015 0.2% 5.41
Iraq 2018 1.0% 3.66
Pakistan 2013 1.1% 3.8
Somalia 2011 1.5% 6.4
Sudan 2014 1.6% 5.2
Algeria 2018 1.6% 3.02
Yemen 2013 1.9% 4.4
Uzbekistan 2019 2.3% 2.79
Syrian 2006 2.4% 3.78
Bangladesh 2019 2.9% 2.03
Tajikistan 2017 2.9% 3.8
Mali 2018 3.1% 6.18
South Sudan 2010 3.2% 2.37
Niger 2012 3.2% 7.39
Cambodia 2014 3.4% 2.7
Guatemala 2015 4.3% 2.93
Nepal 2019 4.5% 2.08
Guinea 2021 5.1% 4.4
India 2020 5.1% 2.2
Myanmar 2016 5.4% 2.17
Chad 2019 5.4% 6.41
Tunisia 2018 6.3% 2.17
Ethiopia 2019 6.4% 4.1
Egypt 2014 6.5% 3.5
Qatar 2012 7.0% 1.97
Indonesia 2017 7.1% 2.26
Madagascar 2018 7.1% 4.04
Malaysia 2000 7.1% 3
Mexico 2015 7.4% 2.23
Congo 2017 7.6% 5.96
Venezuela 2001 7.6% 2.78
Rwanda 2020 7.7% 3.87
Zambia 2018 8.0% 4.4
Mozambique 2018 8.4% 4.85
El Salvador 2014 8.5% 2.13
Iran 2016 8.5% 2.05
Mongolia 2018 9.0% 2.92
Philippines 2017 9.2% 2.87
Tanzania 2015 9.6% 5.1
Benin 2018 9.8% 5.1
Albania 2017 10.0% 1.49
Honduras 2019 10.4% 2.5
Paraguay 2016 10.4% 2.62
Viet Nam 2020 10.5% 1.9
Oman 2003 10.6% 3.7
Angola 2016 10.8% 5.7
Colombia 2015 11.1% 1.98
Brazil 2010 12.0% 1.9
Liberia 2019 12.0% 4.5
Costa Rica 2018 12.1% 1.71
Ecuador 2010 12.1% 2.69
Kyrgyzstan 2018 12.3% 2.75
Zimbabwe 2019 12.9% 3.6
Uganda 2019 13.2% 4.81
Nigeria 2018 14.7% 5.45
Georgia 2018 15.0% 2.11
Armenia 2016 15.2% 1.74
Cameroon 2018 15.3% 4.69
Kazakhstan 2015 15.5% 2.74
Singapore 2020 16.1% 1.1
Peru 2017 16.8% 2.3
Türkiye 2019 16.9% 1.88
Namibia 2013 17.5% 3.6
Uruguay 2012 17.6% 2.03
Portugal 2011 18.9% 1.35
Kenya 2020 19.4% 3.4
Israel 2019 19.9% 2.95
Dominica 2019 20.1% 2.3
Chile 2017 20.2% 1.6
Bolivia 2012 20.3% 3.09
Poland 2011 20.7% 1.34
Slovakia 2011 20.8% 1.39
Romania 2011 20.9% 1.29
Cuba 2019 21.1% 1.63
Ghana 2019 21.5% 3.68
Thailand 2019 21.6% 1.5
Serbia 2019 21.8% 1.43
New Zealand 2018 21.9% 1.88
Argentina 2019 22.8% 1.81
Hungary 2011 23.6% 1.23
South Africa 2016 23.8% 2.6
Croatia 2011 24.6% 1.5
Ukraine 2012 25.0% 1.5
China 2021 25.0% 1.16
Jamaica 2015 25.2% 1.59
Spain 2019 25.7% 1.3
Greece 2011 27.5% 1.5
Ireland 2019 27.6% 1.7
Canada 2016 28.2% 1.59
USA 2019 28.4% 1.6
Bulgaria 2011 30.5% 1.51
Belgium 2011 30.9% 1.81
UK 2023 32.0% 1.49
Italy 2019 32.6% 1.3
Slovenia 2018 32.6% 1.6
Japan 2023 34.0% 1.2
Korea 2023 34.0% 0.76
France 2015 35.5% 1.65
Switzerland 2019 36.0% 1.48
Austria 2019 37.5% 1.46
Netherlands 2019 38.3% 1.6
Denmark 2020 38.5% 1.6
Norway 2019 38.9% 1.53
Sweden 2019 39.7% 1.7
Latvia 2011 41.1% 1.7
Germany 2019 42.3% 1.54
Finland 2019 44.7% 1.3