人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

インターネット普及率と合計特殊出生率(166ヶ国)は負の相関

インターネット普及率と合計特殊出生率 166ヶ国(2021年)

ITU(国際連合の専門機関)が発表しているインターネット普及率(2021年)と合計特殊出生率(2021年)の166ヶ国の散布図になります。相関は「-0.84」と強い負の関係で、インターネット普及率が高いほど出生率が低い傾向にあります。

国のインターネット普及率リスト - Wikipedia

 

インターネット普及率と平均寿命 166ヶ国(2021年)

次に、「インターネット普及率」と「平均寿命」を166ヶ国の散布図にすると正の相関で「+0.82」になります。インターネット普及率が高いほど、平均寿命が高い傾向にあります。平均寿命は、2021年の国際連合が発表の男女平均値です。

 

インターネット普及率と乳幼児死亡率 165ヶ国(2021年)

次に、「インターネット普及率」と「5歳未満の乳幼児死亡率」(2021年ユニセフ)を比較すると「-0.81」と負の相関があり、インターネット普及率が高いほど乳幼児死亡率が低くなる傾向にあります。

https://www.unicef.or.jp/sowc/pdf/UNICEF_SOWC_2023_table2.pdf

 

【フィリピンのネット普及率と合計特殊出生率の推移】

フィリピンのネット普及率と出生率の推移

フィリピンのネット普及率と出生率を166ヶ国の散布図上に推移を示すと、ネット普及率が上がり出生率が低下するようグラフでは右下に向かってます。フィリピンは2010年に合計特殊出生率が2.42でしたが2021年には1.57まで減少しています。

  ネット普及率 出生率
2010年 25% 2.42
2011年 29% 2.33
2012年 31% 2.33
2013年 33% 2.25
2014年 35% 2.19
2015年 37% 2.16
2016年 39% 2.11
2017年 42% 2.04
2018年 44% 1.98
2019年 43% 1.96
2020年 50% 1.77
2021年 63% 1.57

 

【インターネット普及率と出生率や乳児死亡率】

今回の記事の作成の出発点は、「なぜ韓国は合計特殊出生率が世界一低いのか」を調べていて、韓国はスマホ普及率が世界1位と知って、ネット普及率と出生率の低下は関係があるのかを見てたのですが、相関はあっても因果関係までは不明慮に思いました。

 

スマホ普及率と合計特殊出生率 41ヶ国(2015年)

2015年時のスマホ普及率(88%)は韓国が飛びぬけて高い数字でした。日本のこの時点のスマホ普及率は39%となっていますので、韓国は日本の2倍以上の割合になります。2015年時点のスマホ普及率と合計特殊出生率を41ヶ国で散布図にして相関は「-0.61」でした。

List of countries by smartphone penetration - Wikipedia

 

【宗教の国が出生率が高い】

インターネット普及率と出生率166ヶ国の平均から、ネット普及率の割には出生率が高い順(回帰直線からの残差)を見ると、アフリカ以外の国の上位は下記の国になります。

  ネット普及率 出生率 残差
カザフスタン 91% 3.1 1.6
イスラエル 90% 3.0 1.4
パレスチナ 75% 3.5 1.4
オマーン 95% 2.6 1.2
サウジアラビア 100% 2.4 1.2
モンゴル 84% 2.8 1.0

 

イスラム教、ユダヤ教チベット仏教と、宗教色が強い国はネットが普及しても出生率が高いように見えました。