人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

アメリカの合計特殊出生率2024年「白人×郡」で1位は4.26

アメリカの白人の「群」の合計特殊出生率 2024年

Xの投稿で、2024年アメリカ白人の合計特殊出生率1位がロックランド郡(ニューヨーク州)が4.26という値が信じられなくCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のデータを色々いじってみたので記事にしました。ロックランド郡はニューヨーク州で人口が33.8万人で白人の割合が77%、約26万人の白人の合計特殊出生率が4.262というのがあり得るのかに興味が出ました。CDCでは、合計特殊出生率を「人種」「州」「郡」「年齢階級」「母の生まれ」「父の生まれ」など多数設定してCSVで出力することができます。合計特殊出生率ずばりは出ないので、自分で計算してもいいですが、ChatGPTに計算してもらって、白人で上位6郡(15~44歳女性人口が1万人以上の586郡を対象)が上記のグラフになります。

CDCの操作方法はこの記事の一番最後に記述します。CDCのデータの合計特殊出生率は45~49歳女性データが出力できないので、若干ですが本来の数値より低め(0.01以内)になってます。

TFR 郡人口
Rockland County, NY 4.262 338,000
Ocean County, NJ 3.24 637,000
Kern County, CA 2.786 909,000
Orange County, NY 2.569 401,000
Onslow County, NC 2.348 205,000
Kings County, NY 2.196 2,736,000

後述しますが、日本の市区町村(人口10万人以上)で2024年の合計特殊出生率が一番高いのは沖縄県うるま市が1.88で、2.0を超えている市区町村(人口10万人以上)はありません。

 

アメリカの人種別の合計特殊出生率2024年】

アメリカの人種の合計特殊出生率 2024年

上記のグラフは、母の人種別での合計特殊出生率になります。CDCの出力では「ヒスパニック系」を除いての計算になっています。2024年のアメリカの人種ごとの合計特殊出生率は正式発表されてないので、あくまでCDCのデータになりますが、黒人より白人の方が出生率が2024年は高くなっています。

ハワイ諸島 2.108
ヒスパニック 1.918
白人 1.507
黒人 1.477
インディアン・アラスカ 1.35
アジア人 1.219

 

アメリカの州別の合計特殊出生率2024年】

上位5州

South Dakota 2.035
Nebraska 1.917
Idaho 1.815
North Dakota 1.803
Iowa 1.794

下位5州

Massachusetts 1.37
Oregon 1.354
New Hampshire 1.347
Rhode Island 1.325
Vermont 1.269

アメリカの合計特殊出生率2024年 上位5州と下位5州

合計特殊出生率は、科学的根拠はないですが、地理的に「伝播」すると思っています。日本、韓国、台湾、中国が隣接して低いように、アメリカの50州で上位5州と下位5州は隣接しています。

 

【日本の市町村の合計特殊出生率2024年上位10(人口10万人以上)】

  出生率 日本人人口
沖縄県うるま市 1.88 124,457
鹿児島県鹿屋市 1.85 102,875
沖縄県沖縄市 1.81 142,634
熊本県熊本市南区 1.8 131,908
沖縄県浦添市 1.78 115,340
佐賀県唐津市 1.76 121,278
宮崎県延岡市 1.74 122,166
宮崎県都城市 1.74 164,506
長崎県佐世保市 1.68 249,681
熊本県熊本市北区 1.67 143,147

日本の市区町村の合計特殊出生率は上位10(人口10万人以上)は、全て沖縄と九州になっています。

 

【ロックランド郡のユダヤ人】

話を最初に戻して、なぜアメリカのロックランド郡の合計特殊出生率が4.262もあるかは、ユダヤ人率がアメリカ1位だからです。

  ユダヤ人の人口 ユダヤ人率

ニューヨーク州

ロックランド郡

90,000 31.4%

ニューヨーク州

ニューヨーク郡

314,500 20.5%

バージニア州

フォールズチャーチ独立市

1,800 17.4%

バージニア州

フェアファックス郡

3,600 16.7%

ニューヨーク州

ナッソー郡

207,000 15.5%

ニューヨーク州

キングス郡

379,000 15.4%

ユダヤ系アメリカ人 - Wikipedia

 

ユダヤ人が多い上位6郡に、ロックランド郡(TFR4.262)、キングス郡(TFR2.20)があります。アメリカ系ユダヤ人で超正統派の女性の平均出産人数は6人前後であることが要因と思われます。

A Portrait of American Orthodox Jews | Pew Research Center

 

ここまで調べていてロックランド郡の場所を地図で確認していたら、私個人ですが45年前に9歳の頃にロックランド郡のユダヤ人家庭に宿泊してバーベキューパーティーに招待されたのを思い出しました。父の仕事が外資系で私は当時ニュージャージー州北部に住んでいたのですが、父の職場のユダヤ人の人がバーベキューをするので家族で泊まりにきてという経緯でした。とても大きな古い家で部屋数が30以上あって、子供心に「4人家族なのにどうして部屋数が多いの?」と聞いたら「皆に遊びに来てもらうためだよ」と言われたのが今でも印象に残ってます。

毎月バーベキューを自宅の庭で催して50人くらいが集まって、何人かは宿泊していく。家の中は贅沢なものがあるわけではなく、人が集まることに喜びを感じている姿が45年前の記憶から上書きされないでいるのは、日本人にはないタイプの人だからでしょう。

 

【CDC WONDERのデータの操作方法】

① https://wonder.cdc.gov/natality-expanded-current.html

② 下段の「I agree」をクリック

③ 1. Organize table layout: の「Group Results By」から「Country of Residence」を選択→ 郡ごとのデータ

④ ③の下の「And By」から「Age of Mother 9」を選択 →5歳階級

⑤ ④の下の「And By」から「Mother's Single Race 6」を選択→母の人種を6種類で分類

⑥ 下にスクロールして「3. Select maternal characteristics:」で「Mother's Single Race 6」で「white」を選択 → 母親が白人

⑦ ⑥の下の「Mother of Age 9」で「15~19歳」「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」「35~39歳」「40~44歳」「45~49歳」をまとめて選択→抽出結果では「45~49歳女性」の人口はnot availableと出てしまう仕様

⑧ ⑦の右上の「Mother's Hispanic Origin」で「Not Hispanic or Latino」を選択→白人でもヒスパニック系とラテン系を排除

⑨ 下にスクロールして「10. Select delivery characteristics:」の「year」で「2024」になっていることを確認

⑩ 一番下までスクロールして「send」をクリック

⑪ 30秒くらい待つと画面に結果がでる。右上の「Export」をクリックしてCSVをダウンロード

⑫ ここからはAIに計算してもらうのが良いです。計算方法は、「15~19歳 Births」÷「15~19歳 Female Population」、「20~24歳 Births」÷「20~24歳 Female Population」、「25~29歳 Births」÷「25~29歳 Female Population」、「30~34歳 Births」÷「30~34歳 Female Population」、「35~39歳 Births」÷「35~39歳 Female Population」、「40~44歳 Births」÷「40~44歳 Female Population」この6つを合計して「5」を掛ける。

ロックランド郡だと

15-19 56 7822 0.007159
20-24 1135 6762 0.16785
25-29 1169 5831 0.20048
30-34 1127 5102 0.220894
35-39 926 4957 0.186807
40-44 350 5056 0.069225
      4.262071

③の「1. Organize table layout:」で「州を選択」したい場合は「Country of Residence」を「State of Residence」に変更する、など色々な組み合わせで見ることができます。