人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

市町村の人口減少率ワーストの銚子市と気仙沼市は特定第3種漁港(令和7年国勢調査)

市町村の人口減少率ワースト13と漁港の関係(令和7年国勢調査)

令和8年5月29日、総務省統計局から「令和7年国勢調査 人口速報集計」が公表されました。そこで今回は、市町村別の人口について、2020年から2025年までの5年間の人口増減率のワーストを比較しました。特に、人口規模の小さい町村を除くため、人口5万人以上の「市」に限定し、人口減少率の大きい市をランキング形式で確認しました。

その結果、人口減少率の上位には、海に面する市が非常に多いことに気づきました。そこで、これらの市が漁港、とくに比較的大きな漁港を持つ市なのかどうかを調べてみました。

ワースト 人口増減率 漁港
1位 銚子市 -12.0% 特定第3種
2位 気仙沼市 -11.5% 特定第3種
3位 宇和島市 -11.4% 第2種
4位 呉市 -10.7% 第2種
5位 村上市 -10.3% 第2種
6位 室蘭市 -10.2% 第3種
7位 天草市 -10.1% 第3種
8位 栗原市 -10.0%  
9位 小樽市 -9.8% 第1種
10位 横手市 -9.3%  
11位 佐伯市 -9.2% 第3種
12位 日立市 -9.0% 第3種
13位 舞鶴市 -9.0% 第3種

日本の漁港は、利用範囲や水産業上の重要性などに応じて区分されています。重要な順番では、特定第3種漁港が全国に13か所、第3種漁港が114か所、第2種漁港が524か所、第1種漁港が2035か所、第4種漁港が99か所あります。

このうち、特定第3種漁港は、第3種漁港の中でも水産業の振興上、特に重要な漁港とされるものです。全国にわずか13か所しかありません。ところが、人口5万人以上の市に限定した人口減少率ランキングを見ると、ワースト1位の銚子市とワースト2位の気仙沼市は、いずれもこの特定第3種漁港を持つ市でした。

さらに、人口減少率ワースト1位から7位までを見ると、すべて第2種漁港以上の漁港を持つ市でした。つまり、人口減少率の上位には、単に「海沿いの市」が多いだけでなく、比較的重要な漁港を持つ水産・港湾都市が集中していることが分かります。

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特定第3種漁港の市町村の人口減少率(令和7年国勢調査)

特定第3種漁港とは、利用範囲が全国的な漁港のうち、水産業の振興のために特に重要であるとして、漁港漁場整備法に基づく政令で定められた漁港です。

そこで、特定第3種漁港を持つ13市について、令和7年国勢調査の人口速報をもとに、令和2年国勢調査と比較した5年間の人口増減率をグラフにしました。

その結果、13市のうち人口が増加していたのは福岡市のみで、残り12市はすべて人口減少となっていました。13市の人口増減率を単純平均すると、平均はマイナス7.2%でした。一方、全国平均の人口増減率はマイナス2.5%です。つまり、特定第3種漁港を持つ13市は、日本全体の平均と比べても、人口減少率がかなり大きい傾向にあります。

特に、銚子市はマイナス12.0%、気仙沼市はマイナス11.5%で、いずれも人口5万人以上の市における人口減少率の上位に入っています。全国に13港しかない特定第3種漁港を持つ都市で、これほど大きな人口減少が起きている点は注目されます。

特定第3種漁港の市の人口増減率(令和7年国勢調査)

  5年増減率
銚子市 -12.0%
気仙沼市 -11.5%
浜田市 -10.5%
枕崎市 -10.4%
八戸市 -8.2%
三浦市 -8.1%
石巻市 -8.1%
下関市 -6.7%
長崎市 -6.7%
境港市 -5.1%
塩竈市 -4.7%
焼津市 -4.3%
福岡市 3.2%
全国平均 -2.5%

特定第3種漁港 - Wikipedia

 

中国・香港向け水産物の輸出金額(農林水産省)億円

2023年8月、中国はALPS処理水の海洋放出を理由として、日本産水産物の輸入を全面的に停止しました。その影響により、中国向けの日本産水産物輸出額は、2022年の871億円から、2024年には61億円まで減少しました。中国の水産物の輸入停止と主要な漁港を持つ各市の人口減少率との因果関係の詳細までを示すものではないですが、不思議に思ったので記事にしてみました。