人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

第一子出生までが結婚1年未満の割合が20.4%(2023年)過去最少はピルの普及?

第一子出生までの結婚期間が1年未満の割合の推移

 

年間で第一子が出生したうちで、結婚1年未満だった割合を1955年から2023年までグラフにしてみました。

年次別にみた第1子出生までの父母の結婚期間別嫡出出生数百分率

 

グラフの特徴として、1955年から2002年まで結婚1年未満の第一子出生の割合は38~41%でしたが、2003年以降右肩下がりに減少して、2023年では第1子出生までの父母の結婚期間1年未満の割合は20.4%まで低下しました。

 

 

第一子出生が結婚期間が1年未満の割合 vs 出生数

第一子が結婚1年未満で出生した割合と出生数を比較してみました。2003年からどちらも同じ角度で減少していってます。結婚1年未満の出生で割合が多いのは、1995年までは結婚10ヶ月で出産が最も多かったのですが、それ以降は結婚6ヶ月の出生が最も多いという統計になっています。

 

第一子出生までの結婚期間/令和3年厚生労働省より

 

【25歳以下の女性のできちゃった婚の減少】

第一子出生の結婚期間が1年未満 20~25歳 vs 28~33歳

2002年の結婚1年未満の出生数の実数を100として、「20歳~25歳」と「28歳~33歳」の10年間の推移をグラフにしてみました。若い年齢の女性ほど2003年以降に結婚1年未満の出生割合が減少しています。

 

 

【2003年から結婚1年未満出生の減少とピル普及時期】

下記は2002年にピルを普及に悩むクリニックのホームページの引用です。日本でピルは1999年に承認されましたが、2002年までは世間には浸透してなかったようです。

2000年4月から開設した『ピルダイヤル』に寄せられた電話相談から、ピルについての最新情報をお届けしよう。
OC情報センター(OCIC)では、2002年1月末現在での低用量ピル服用者を15万人から16万人と推計しているが、その数は昨年と比べて2割から3割増加しているという。低用量ピルが発売された当初、期待されたような利用者の急増はないものの、ここ一年間での服用者数の増加率をみると、ピル普及の兆候といえそうだ。

ピルはどこまで普及したか - Dr.北村のJFPAクリニック

 

 

【2022年東京女性医科大学の学生のピル服用率は30%】

2022年に東京女性医科大学でアンケートをした660名中有効回答が154名(23%)の内、ピルを服用中と答えた大学生の割合が30%でした。

国際連合が2014年に日本のピル服用率が2.9%と発表されましたが、対象が女性15~49歳でどのように調査されたか不明なので、20代のピル服用率はもっと高いのではと思い調べてみました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/campushealth/59/2/59_44/_pdf

 

 

【丸の内で働く20代女性の31%がピル服用中】

三菱地所「まるのうち保健室 働く女性ウェルネス白書2022」での20代女性のピル服用率は31%でした。全年代で母数が294名で20代が何人回答したかは不明ですが、前述の東京女子医科大学の30%と近い数字です。

https://shokumaru.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/30a01e566cd6b1a106fc37df98c6cb35.pdf

 

【ネット調査138名 20代女性のピル服用率は24.6%】

2024年9月にネットでアンケート調査された会社の結果では、20代女性のピル服用率は24.6%で、過去に服用経験がある女性は23.9%で、ピルの経験がある女性は20代では半分近いということになります。

https://leosophia.co.jp/marketing/marketing-research-oralcontraceptives/

 

 

【2015年 韓国で結婚2年以内の出生が70%以下に低下】

晩婚で遅れる「第一子」、結婚2年以内の出産が70%以下に | 東亜日報

 

日本での2023年の統計を計算しますと、結婚2年以内の第一子出生の割合は43.8%です。1985年には結婚2年以内の出生の割合は77%でしたが半分近くに低下したことになります。

第一子出生が結婚期間が2年以下の割合

 

世界の出生数の減少率(2018年~2024年平均)日本よりも少子化の10カ国

出生数の減少率(2018年~2024年の年平均)
ウクライナ 8.2%
中国 7.1%
チリ 6.6%
ポーランド 6.0%
アルゼンチン 5.9%
コロンビア 5.4%
タイ 5.1%
スリランカ 5.0%
韓国 5.0%
台湾 4.5%
日本 4.3%

 

今回の記事作成の意図は、日本の出生数減少が目立つと言われてますが、直近6年間で世界の国と比較しますと、日本の出生数の減少の勢いは10位以内に入ってなく、意外な国で出生数の減少が起きているというデータになります。

 

 

ウクライナ

ウクライナの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 335,874  
2019年 308,817 -8%
2020年 293,457 -5%
2021年 271,983 -7%
2022年 206,032 -24%
2023年 187,387 -9%
2024年 169,773 -9%

2024年は6月までの月次データを年換算にした出生数です。

2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻した影響で2022年は出生数が-24%と下がってますが、2021年前から-5%以上の減少がありました。

 

【中国】

中国の出生数(2017年~2023年)
  出生数 増減率
2017年 17,230,000  
2018年 15,230,000 -12%
2019年 14,650,000 -4%
2020年 12,000,000 -18%
2021年 10,620,000 -12%
2022年 9,560,000 -10%
2023年 9,020,000 -6%

 

中国は2024年の出生数が未だ不明でしたので、2017年~2023年としました。

 

【チリ】

チリの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 221,731  
2019年 210,188 -5%
2020年 194,978 -7%
2021年 177,273 -9%
2022年 189,310 7%
2023年 171,992 -9%
2024年 133,638 -22%

 

引用:Tasa de fecundidad llega al nivel más bajo en historia en Chile - La Tercera

 

チリは2024年の出生数が1~9月までが、前年比で-22.3%になってます。2024年の数値は1~9月を考慮した予測値になります。2024年の合計特殊出生率の推測値はこのままだと0.88になるようです。

チリだけでなく、アルゼンチン、コロンビアなどの南米大陸の国が出生数が大きく低下しています。

 

ポーランド

ポーランドの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 388,178  
2019年 374,954 -3%
2020年 355,309 -5%
2021年 331,511 -7%
2022年 305,132 -8%
2023年 272,451 -11%
2024年 249,020 -9%

 

ポーランドの2024年の数字は、1~9月までのデータを考慮して推測したものになります。

 

【アルゼンチン】

アルゼンチンの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 685,394  
2019年 625,441 -9%
2020年 533,299 -15%
2021年 529,724 -1%
2022年 495,295 -6%
2023年 482,252 -3%
2024年 435,999 -10%

アルゼンチンの2024年の数字は、合計特殊出生率が1.25予測から計算したものになります。

 

【コロンビア】

コロンビアの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 649,115  
2019年 642,660 -1%
2020年 629,402 -2%
2021年 616,914 -2%
2022年 573,625 -7%
2023年 513,448 -10%
2024年 438,110 -15%

 

コロンビアの2024年の数字は1~6月までのを推測したものになります。

コロンビア政府統計:DANE - Nacimientos

 

【タイ】

タイの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 666,109  
2019年 618,193 -7%
2020年 587,368 -5%
2021年 544,570 -7%
2022年 502,107 -8%
2023年 517,934 3%
2024年 461,479 -11%

タイの2024年の数字は1~9月までのデータを計算したものになります。

 

スリランカ

スリランカの出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 325,741  
2019年 329,177 1%
2020年 299,875 -9%
2021年 295,418 -1%
2022年 289,863 -2%
2023年 268,920 -7%
2024年 227,506 -15%

スリランカの2024年の数字は、1~6月を反映したものになります。

スリランカは2022年に国家財政破綻をしています。

 

【韓国】

韓国の出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 326,800  
2019年 302,600 -7%
2020年 272,300 -10%
2021年 260,200 -4%
2022年 249,200 -4%
2023年 230,000 -8%
2024年 229,026 0%

韓国の2024年の数字は1~8月を反映したものになります。韓国は2016年から出生数の低下が続いてましたが2024年に下げ止まったような現状です。合計特殊出生率は0.72と1000万人以上の国では世界一低い数字になります。

 

【日本】

日本の出生数(2018年~2024年)
  出生数 増減率
2018年 918,400  
2019年 865,239 -6%
2020年 840,835 -3%
2021年 811,622 -3%
2022年 770,759 -5%
2023年 727,277 -6%
2024年 681,459 -6%

日本の2024年の出生数は1~6月を反映したもにになります。

女性の初婚件数が2024年(1~6月)は2019年(1~6月)より37%減少

女性の初婚数(上半期1月~6月) 2017年~2024年

人口動態調査の月報で、婚姻件数を男女の初婚・再婚別にした資料から、女性の初婚数の上半期(1~6月)の推移が上記のグラフになります。2019年上半期は女性の初婚件数は180,495件でしたが、2024年上半期は113,502件と37%の減少になっています。2024年上半期の女性の初婚数は、2023年上半期と比べても4.3%ダウンで、下げ止まってない状況です。初婚件数は、出生数の先行指数になりますので、この数字が回復しないと出生数の回復は難しいと思われます。

 

人口動態調査 人口動態統計 月報(概数) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

 

 

【男性の初婚件数も2024年上半期は2019年から34%減少】

男性の初婚数(上半期1月~6月) 2017年~2024年

男性の初婚数も女性に似たように減少しています。

2019年上半期は169,220件の初婚数も2024上半期は111,227件と34%減少です。

 

 

【2024年1~6月の初婚数はまだ前年比割れ】

女性の初婚数2024年1月から6月の前年同月比

2024年1月から6月までを前年比で見ると、100%を大きく上回ったのは1月だけでした。2023年1月は、新型コロナ感染者数が過去最多となった月で婚姻数が少なかったのもあり2024年1月は前年比107%でした。2024年2月、3月、4月、6月と前年比で初婚数は95%以下なので、回復にはまだ遠いように見えます。

 

 

【女性の初婚率を1997年から長期間で比較】

「25歳~34歳日本人女性の初婚件数」÷ 「25歳~34歳日本人女性人口」 1997年~2024年

 

長期の年月で見た、初婚件数が最も多い5歳階級の2つ、25~34歳の初婚率をグラフにしました。25歳~34歳の初婚件数は、女性の全体の初婚の64%(2019年)を占めていて、この年齢層が1997年~2024年の間にどのように推移したかが上記のグラフになります。計算式は、「25~34歳日本人女性の初婚件数」÷「25~34歳日本人女性の人口」です。

1997年から2019年までは、4.0%~4.4%の範囲で推移して女性の大学進学率が上昇したり、正社員の就労率が増加していても、婚姻にはあまり影響してなかったように見えます。しかし2020年に新型コロナの影響により初婚の婚姻数が減少し、2024年6月の統計もまだ下げ止まってない状況です。1997年から様々な出来事があったなかで、女性の婚姻に一番大きく影響したのが新型コロナということになります。25~34歳女性の2019年の初婚率が4.1%だったのが、2024年は2.9%と30%下落してます。

 

 

【無配偶者の女性の初婚率】

無配偶者女性の初婚率(1000人当たり) 25~29歳、30~34歳 2000年~2020年

無配偶者の初婚率は、「5歳階級」「性別」「未婚者のうちの初婚率」を発表した数字で1000人当たりの初婚件数で、婚姻の状況をより正確に反映されたものになりますが、5年に一度の調査なので最新が2020年です。赤の線が30~34歳女性で、2000年から2015年までは横ばいでしたが、2020年に大きく低下しています。

下記は、女性の無配偶者の5歳階級の初婚率(1,000人当たり)の推移になります。20~24歳で結婚する女性が、2000年から2020年で半分になったのが分かります。

 

女性の年齢別の無配偶者初婚率(1,000人当たり)

  20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳
2000年 48 114 72 28 7
2005年 38 96 66 29 8
2010年 34 94 72 32 10
2015年 29 94 76 39 12
2020年 21 70 53 28 10

 

無配偶者の初婚率の資料からも、2015年から2020年の比較で、25~29歳で25%減少、30~34歳が30%減少となっています。

小学生の長期欠席率(2023年の不登校・病気)都道府県で相関するのは抑圧

2023年度 小学生の長期欠席率(30日以上) 都道府県

 

2024年10月31日に文部科学省が発表された小学生の長期欠席率(年度内で30日以上)を都道府県別で比較して相関する要素を探そうと思いました。最初に「不登校」の率だけを比較してみたのですが、相関係数で0.3以上のものが見つけれなかったので、「不登校」と「病気」を合算した長期欠席率で相関を調べました。「不登校」と「病気」は、都道府県の教育委員会や学校の判断で明確には区別できない数値だと思い合算しました。

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査:文部科学省

 

長期欠席率で多いのは、沖縄県4.62%と茨城県4.1%と宮城県3.95%です。長期欠席率で少ないのは、徳島県2.05%と山形県2.08%と岩手県2.1%です。都道府県で30日以上休む小学生の率が2倍以上も差が出るのは、何の要因なのだろうと思ったのが今回の記事作成の発端です。全国平均で、2023年の小学生の長期欠席の理由は30%が病気で、70%が不登校でした。

 

2023年度 小学生の長期欠席率(都道府県)と相関が強い要素

59個の要素を2023年小学生の長期欠席率(都道府県)と比較して、相関係数が大きかった上位10個は上記の内容です。赤の線は「負の相関」になります。相関が0.6以上の要素は見つけることが出来なく、小学生の長期欠席率の要因を探す難しさを感じました。不登校や長期欠席は、いじめ・暴力行為と関係すると思ったのですが、都道府県の相関はありませんでした。

  相関
いじめ 0.05
いじめ重大 0.1
暴力行為 0.28

 

【人口増加率(前年比) 相関:0.562】

一番相関が強かったのは、都道府県の前年からの人口増加率でした。人口が多くなったところは新型コロナの感染の影響が強く、欠席に繋がったのではないでしょうか。また人口が増加するということは、密度が高くなり児童が抑圧でストレスを感じやすくなることへの影響もあるかもしれません。小学生児童数だけの変化(2023年対2022年)の比較では、小学生の長期欠席率と相関は0.423でした。

 

【共働き率 相関:-0525】

2020年の6歳から12歳の子供がいる「共働き世帯」÷「一般世帯」の割合が高い都道府県ほど、小学生の長期欠席率が低いということになりました。共働きは、正社員とパートを合算した数値です。意外な結果で、共働きであった方が小学生が長期欠席が少ないということになります。

一人の時間と空間が不足することで児童が抑圧を感じやすくなり、無気力になり不登校になるのかもしれません。コロナ禍でリモートワークが増えて、両親と接する時間と空間の量の変化が子供に影響するのかもしれません。共働き率をパートを除くにすると相関は-0.46と下がるので、自宅に両親がいない方が良いのかもしれません。

 

6歳から12歳の子供がいる共働き率(都道府県)

1位 富山 64.1%
2位 島根 63.0%
3位 新潟 62.1%
45位 神奈川 40.8%
46位 大阪 38.3%
47位 東京 35.6%

 

【持ち家比率 相関:-0.491】

持ち家比率が高い方が、長期欠席率が低いという結果になりました。これも新型コロナの感染で病気欠席の要因かもしれません。

 

【離婚率 相関:0.488】

離婚率は2023年の都道府県別の総数を引用してます。離婚率が高い方が不登校になりやすいという通説の通りなのかもしれません。

 

人口千人当たりの離婚率(都道府県)

1位 沖縄 2.2
2位 宮崎 1.74
3位 北海道 1.71
45位 山形 1.2
46位 新潟 1.19
47位 富山 1.14

 

【住居面積 相関:-0.484】

住居面積が広い方が小学生の長期欠席率が低いという相関になりました。これも新型コロナの感染の病気欠席の要因かもしれません。また、空間が広い方が小学生の居場所があるので抑圧のストレスになりづらいというのもあります。

 

【一戸建て比率 相関:-0.48】

一戸建て比率が高い都道府県の方が小学生の長期欠席率が低いという相関になりました。上記と同じく感染と児童の居場所が集合住宅と比較して良いのかもしれません。

 

【中学校卒業者の進学率 相関:-0.46】

2021年の都道府県別の中学卒業後の進学率と負の相関があり、中学卒業後に進学するほど不登校や長期欠席が少ないということになりました。高校卒業者の進学率は相関が0.1で関係がないようでした。

 

中学卒業後の進学率(都道府県)

1位 山形 97.7%
2位 富山 97.5%
3位 石川 97.5%
45位 静岡 92.9%
46位 岐阜 92.5%
47位 愛知 91.3%

 

【小売店数(人口千人当たり) 相関:-0.451】

売店の数が都道府県に多いところほど、小学生の長期欠席率が低いということになりました。都道府県別の社会データを色々比較して偶然高い数値になりました。理由は分かりませんでした。

 

【教員養成系の大学・大学院卒 相関:-0.443】

公立小学校の教員の統計で都道府県別で、「教員養成の大学・大学院卒」の割合が高いと長期欠席が低いとなりました。教員養成系とは、大学で教育学部だったということで、高校の時から将来教育に携わろうという児童に寄り添う気持ちが強いので抑圧を受けにくいのかもしれません。47都道府県で不登校の率が一番低いのは福井県で、長期欠席も4番目に低い県です。

 

公立小学校の教員養成の大学・大学院卒率

1位 福井県 86.0%
2位 秋田県 82.0%
3位 北海道 81.4%
45位 大阪府 34.8%
46位 千葉県 32.3%
47位 東京都 31.7%

 

【公立小学校の教員数(1生徒当たり) 相関:-0.439】

教員数が多い方が、小学生の長期欠席が少ないということになりました。教員数は、本務者と兼務者を合計した値で計算してます。

 

小学生一人当たりの教員数

1位 三重 0.0401
2位 鳥取 0.0392
3位 和歌山 0.0372
45位 大阪 0.0113
46位 茨城 0.0107
47位 埼玉 0.0106

 

 

【小学生の長期欠席率と相関が0.4以上だった他の要素】

  相関
小学校数(6~11歳人口10万人当たり) -0.429
教員休職 精神疾患 2020年 0.423
幼保連携型認定こども園の学級数(1生徒当たり) -0.422
認定こども園数(0~5歳人口10万人当たり) -0.415
高卒 就職率 -0.414
少年刑法犯 検挙率 0.401

 

高卒の就職率が高い方が小学生の長期欠席率が低いというのは、受験の抑圧が少ない地域の方が不登校になりずらいかもしれません。

 

 

【小学生の長期欠席率と相関が見られなかった要素】

幼稚園教育費(在園者1人当たり) -0.39
一次活動時間男性(睡眠食事身の回り) -0.38
三世帯の割合(子供がいる場合) -0.38
12歳以下人口割合 0.38
保育所等数(0~5歳人口10万人当たり) -0.36
精神病院 10万対 -0.35
児童福祉費 予算割合 0.33
父親 第一子年齢 0.33
世帯主の通勤時間 0.32
小学校教育費(児童1人当たり) -0.31
上下水道普及率 0.31
小学校児童数(1学級当たり) 0.30
母親 第一子年齢 0.29
所得格差 0.28
暴力行為 0.28
外国人 人口割合 0.25
生活保護 0.24
学習塾(小学生) 売上 0.24
児童1人当たり公立小学校費 -0.23
小学1~3年 放課後デイ -0.21
出身高校所在地県の県内大学への入学者割合 0.21
県内の大学の数 -0.21
特別支援学級数(公立小学校) -0.20
コロナ 死者数 0.19
女性教員の割合 -0.19
教育費 予算割合 0.18
一人親世帯の割合 -0.18
通級 割合 -0.17
私立中学 0.16
児童福祉施設等数(人口10万人当たり) 0.16
公園面積(一人当たり) -0.15
教員の平均年齢 -0.15
放課後デイ 常勤割合 -0.14
フリースクール -0.12
いじめ重大 0.10
日照時間 0.07
中絶率 -0.07
世帯主収入 0.05
いじめ 0.05
合計特殊出生率 2014年 -0.03
女性管理職 0.03
児童虐待 0.02
35~39歳 女性未婚率 -0.02

 

 

【2023年度 小学生 長期欠席率(30日以上)】

沖縄 4.62%
茨城 4.10%
宮城 3.95%
奈良 3.68%
長野 3.64%
福岡 3.57%
千葉 3.38%
大阪 3.29%
兵庫 3.26%
熊本 3.24%
神奈川 3.23%
岐阜 3.22%
静岡 3.21%
栃木 3.17%
東京 3.16%
北海道 3.12%
島根 3.12%
広島 3.10%
山梨 3.07%
高知 3.07%
鹿児島 3.03%
愛媛 2.99%
鳥取 2.99%
岡山 2.99%
愛知 2.84%
埼玉 2.78%
滋賀 2.78%
三重 2.76%
大分 2.75%
群馬 2.65%
富山 2.62%
青森 2.61%
福島 2.61%
山口 2.58%
石川 2.57%
長崎 2.56%
秋田 2.49%
新潟 2.41%
和歌山 2.39%
京都 2.39%
香川 2.35%
宮崎 2.34%
佐賀 2.34%
福井 2.11%
岩手 2.10%
山形 2.08%
徳島 2.05%

 

 

 

20歳まで生きる確率と出生率(世界132ヵ国)は負の相関が強い

「20歳の生存率」と「合計特殊出生率」 132カ国 2019年

132ヵ国の年齢20歳時点の生存率と合計特殊出生率の相関は「-0.928」と強い負の相関がありました。データは「Our World in Data ( OWID )」というオックスフォード大学と提携している機関が「WHO」を元にした5歳間隔の死亡率を提供していて、それを20歳に達する生存率に計算し直して、合計特殊出生率と比較したものになります。

Probability of dying, by age - Our World in Data

 

このグラフを見ると、20歳まで生きる確率が高まると、その国の合計特殊出生率が下がるようにみえます。2019年のデータでは132ヵ国中で20歳の生存率が一番低かったのがソマリアで85.3%、一番高かった国はスロベニアで99.6%、日本は20歳の生存率が99.57%で世界3位でした。生殖可能な年齢に達する生存率が高まることで、新たに子孫を残そうという欲求が低下するのではと思いグラフにしてみました。

 

5歳階級の生存率と出生率の負の相関の強さ

上記のグラフは世界132カ国の「5歳生存率」「10歳生存率」「15歳生存率」「20歳生存率」「25歳生存率」「30歳生存率」「35歳生存率」「40歳生存率」と出生率の負の相関の度合いのグラフです。親はどの時点の子供の生存率と出生率を無意識に比較しているのだろうかと思いグラフにしました。合計特殊出生率と負の相関が一番強かったのが20歳生存率で、20歳までの子供を無事育てようと願う親御さんが多いからではないでしょうか。

年齢 相関係数
5歳 -0.918
10歳 -0.924
15歳 -0.927
20歳 -0.928
25歳 -0.926
30歳 -0.921
35歳 -0.910
40歳 -0.894

 

 

日本の20歳まで生きる確率の推移 1898年~1990年

日本では1898年から1925年までは、20歳の生存率は70%で推移してましたが、1936年から急増して1970年には97.5%になりました。1970年以降は生存率の増加は微量になっていきます。1930年頃に生存率が上昇した理由は、日本の乳児死亡率が低下したことにあります。

生命表 完全生命表 第1~17回生命表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

 

日本の20歳まで生きる確率と合計特殊出生率の推移

日本の1952年から2019年までの、20歳の生存率と出生率の遷移が赤線になります。青い点が2019年の132ヵ国のデータです。1990年以降は、20歳まで生きる確率が99%以上となり上限に達したのか出生率の低下も緩やかになってます。

 

 

【生殖可能年齢に到達する生存率が99%以上の動物】

人間のように生殖可能年齢に達する生存率が99%を超える動物が他にいるのか調べてみました。ハダカデバネズミというアフリカに住む毛が無いネズミが、生殖可能年齢が6カ月で生存率が99.99%とのことです。

老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

ハダカデバネズミのように生存率が高いと個体数が増えすぎないのかと疑問に思ったのですが、平均80匹の血縁関係の濃い群れを形成し生殖に関わるのは1匹の雌と3匹の雄だけのようです。寿命が長く普通のネズミの14倍の28年という長寿も人間に似ています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/52/3/52_189/_pdf

 

 

【相変異】

動物における相変異(そうへんい)とは、特に個体群密度の変化によって、異なる姿と習性をもつ個体が生じることである。

 

「イナゴの大群」の現象を相変異と言うようで、理屈はまだ解明されてません。食糧不足になったり、個体密度の高い状態が続いたりすると、群れを作り遠方まで飛べるように体が変化して、現在のストレスの高い環境から脱出して、食料も空間も十分な場所を追い求めるようです。

ja.wikipedia.org

 

人間も密度の高い状態で生活が続いたり、資源が不足した状態が続く(お金の不安)ことで、個体の変化の結果として出生率が低下しているのかもしれません。

SNS型投資・ロマンス詐欺の検挙率は1.5%(2024年1~8月)警察庁

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺 検挙率 2024年1~8月

警察庁が2024年10月2日に発表した、「令和6年8月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」にて、認知件数が6868件に対して検挙件数が103件で検挙率を計算すると、103÷6868=1.5% でした。

 

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺が急増し始めたのが2023年なので検挙に時間を要して検挙率が低いとも考えられますが、検挙率が今後上がったとしても2倍の3%が限度と思われます。

 

警察庁資料

https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-touroma2024.pdf

 

 

詐欺の手口別の検挙率 2024年1月~8月

警察庁が2024年10月2日に発表された他の詐欺の手口の検挙率とSNS型投資詐欺の検挙率を比較すると、如何にSNS型投資・ロマンス詐欺の検挙率が低いかが分かります。

 

 

【北海道警のSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の検挙率】

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺 北海道警 検挙率

https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/keiji/oreore/furikome_stait/furikome_stait_sns.pdf

 

県警がSNS型投資詐欺やロマンス詐欺の検挙件数を明確に公表していたのは、北海道警だけでした。北海道警では、2023年に認知件数36件に対して検挙件数は1件、2024年は認知件数が121件で検挙件数は2件でした。2023年と2024年9月末までの数字を統合すると、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の検挙率は、(1+2)÷(36+121)=1.9%となります。

警察庁が2024年10月に発表した資料の1.5%と近い数字になります。

 

 

【愛知県警では2024年6月がSNS型投資詐欺の初検挙】

2024年6月26日に愛知県警では、初めてのSNS型投資詐欺の検挙に至りました。愛知県警では2024年1月から4月まで225件のSNS型投資詐欺がありましたが、検挙は1件だけだったことになります。

 

 

【詐欺被害で起訴まで行く確率は2024年は13%で過去最低】

詐欺で起訴まで行く確率の推移 1993年~2024年

警察庁検察庁の資料で各年の詐欺全体の「検挙率」掛ける「起訴率」をグラフにしてみました。検挙率は「件数」、起訴率は「人数」なので誤差が少し生じてしまいますが、1件の詐欺被害で何%が起訴に至るかを年次で大まかに把握できると思います。

 

グラフのように「振り込め詐欺(特殊詐欺)」が流行しだしたことで詐欺の起訴の割合が低下しました。1999年には61%の詐欺被害が起訴まで行ってましたが、2004年は21.8%まで低下しました。2004年後も一時的に起訴までの割合は詐欺被害認知件数の41%起訴まで回復しましたが、その後低下。2022年から詐欺被害から起訴までの割合が20%を切り、2024年は9月段階で13.4%と過去最低の状態です。詐欺に遭遇しても8件に1件しか起訴されないことになります。

8件に1件しか起訴されないとなると、詐欺を行う人間が増えて治安の悪化が止めれない状態になってしまいます。

《参照データ》

犯罪統計 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

 

検察統計調査 検察統計被疑事件の推移 5 被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較 (1993年~) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

 

 

【詐欺全体の検挙率は2024年が過去最低】

詐欺 検挙率 1982年~2024年

2024年は詐欺の検挙率は1~9月までは26.3%と過去最低の数字です。2015年からは1~9月の数字として2024年と比較しやすいようにしました。グラフを見ますと2022年、2023年、2024年と急激に詐欺の検挙率が下がって、2021年から僅か3年で検挙率が48.3%から26.3%と半分近くになっている状態です。オレオレ詐欺もしくはネットバンキングがない2000年以前は、詐欺の検挙率は90%を超えてました。仮想通貨とSNSが流行することで、SNS投資詐欺・ロマンス詐欺が流行して、被疑者の特定が難しくなり検挙率が落ちていると思われます。被疑者は恐らく海外在住が多いのも検挙できない理由の一つと思われます。

女性の未婚率は2020年国勢調査で高卒も大卒も23%(35~44歳)

女性の年齢階級別・最終学歴別の未婚率(2020年国勢調査より)

最終学歴が高いと女性が婚姻率が下がるという説が多くデータを提示しているサイトがあったので、改めて自分で計算してみたところ、「35~44歳女性」では、高卒でも大卒でも婚姻率は同じでした。

 

利用したデータは「令和2年国勢調査 / 就業状態等基本集計(主な内容:労働力状態,就業者の産業・職業,教育など)」です。

www.e-stat.go.jp

35歳~44歳の女性の具体的な数字を表にすると下記になります。

  高卒 大卒
未婚 505,391 437,987
有配偶 1,479,556 1,409,905
死別 10,937 4,535
離別 215,050 70,016
未婚率 22.9% 22.8%

 

比較対象の年齢を35歳~44歳の全国の女性にしました。30歳~34歳を含めると、社会人になって間もない大卒が未婚率で不利になるので、35歳以上にしました。45歳以上になると、女性の大学進学率が25年前は今よりも4割程度低かったので44歳を上限にしました。

35歳~44歳の最終学歴が高卒の女性は221万人、大学・大学院卒が192万人と比較するのに都合が良い近い数字になります。「学歴詳細不明」は含めずに、未婚率を計算すると、「35~44歳 高卒」で22.9%、「35~44歳 大卒・大学院卒」で22.8%となりました。もし、高学歴の女性ほど未婚率が高いのであれば、このような結果にはならないのではと思います。

 

 

【2010年国勢調査では、高卒と大卒では女性で未婚率の差があった】

2010年国勢調査の35~44歳女性の未婚率です。

  高卒 大卒
未婚 631,223 308,202
有配偶 2,532,677 974,948
死別 24,352 4,274
離別 343,844 51,541
未婚率 17.9% 23.0%

 

これを見ると、高卒の未婚率は17.9%、大卒は23%なので、最終学歴が高い方が未婚率が高いと思ってしまいます。2015年や2010年以前のデータを探したのですが、最終学歴と婚姻状態のデータが見つかったのが2010年と2020年だけでした。憶測になってしまいますが、大学に進学する女性が婚姻率が下がるのではなく、結婚願望が元々薄い女性は大学に進学する割合が高いという可能性があるのではないでしょうか。

 

 

【男性は大卒の未婚率が低い】

男性の未婚率 年齢階級別・最終学歴別(2020年国勢調査

男性の未婚率は、高卒に比べて大卒は全年齢階級で低い結果でした。

2020年国勢調査の男性の年齢階級別の未婚率は下記のようになり、どの年齢も9%くらい未婚率が大卒は低くなってました。

  高卒 大卒
30~34歳 53.9% 45.1%
35~39歳 41.9% 30.0%
40~44歳 34.6% 23.4%
45~49歳 30.9% 20.7%
50~54歳 26.8% 17.9%
55~59歳 20.8% 14.6%

 

 

【一人当たりのGDP出生率のグラフ】

一人当たりの名目GDP合計特殊出生率 111ヵ国 2019年国連データ

一人当たりの名目GDPが横軸(ドル)で、縦軸が合計特殊出生率です。一人当たりの名目GDPは2019年国際連合が発表した数値で、人口500万人以上の111ヵ国をグラフにしました。111ヵ国中、一人当たりの名目GDPが年間1万ドル以上で合計特殊出生率が2.0以上の国は、「イスラエル」「サウジアラビア」の2ヵ国のみです。このグラフのような状態が何故起きるのかを調べ始めたのが今回の記事の発端です。

 

 

【一人当たりの名目GDPが上がると出生率が低下するという英語版のWikipedia

Income and fertility - Wikipedia

 

GDPが上昇すると出生率が低下するのは何故だろう?という回答があったのが英語版のwikipediaでした。

① 親が子供に対して教育費を掛けれると出生率が低下する

 

② 経済的に自立できる女性は結婚する動機が少ない

 

③ 高所得の親は量よりも質を重視し、より少ない数の子供に資源を費やします。

上記の②の、高学歴の女性ほど婚姻率が低下するというのは良く言われていますが、本当かどうかを日本の統計で調べてみようと思ったのがきっかけでした。

日本の2020年国勢調査のように女性の学歴と婚姻率は相関しないとなると、国が富むと人口置換水準を下回るというのは何故なのかが分からなくなってきます。

 

 

【日本の戦後の一人当たりのGDP合計特殊出生率

日本の一人当たりのGDP出生率(1955年~2007年)

日本の一人当たりの名目GDPをドル換算で現在の為替レート145円と仮定しますと、一人当たりの名目GDPが1万ドルを超えたのが1976年で、合計特殊出生率が2.0以下になったのが1975年です。時期が同じくらいなので、一人当たりのGDP1万ドルに出生率を押し下げる何かがありそうですが分かりませんでした。

 

 

【年齢階級別の女性の未婚率のデータ 2020年国勢調査

 

30歳~34歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 294,919 393,542
有配偶 448,898 608,993
死別 1,265 507
離別 51,761 17,681
未婚率 37.0% 38.6%

 

35歳~39歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 254,674 251,480
有配偶 647,332 717,197
死別 3,212 1,526
離別 85,478 30,336
未婚率 25.7% 25.1%

 

40歳~44歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 250,717 186,507
有配偶 832,224 692,708
死別 7,725 3,009
離別 129,572 39,680
未婚率 20.5% 20.2%

 

45歳~49歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 288,485 151,600
有配偶 1,168,057 593,066
死別 20,050 3,009
離別 204,641 46,450
未婚率 17.2% 19.1%

 

50歳~54歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 242,245 104,314
有配偶 1,260,027 435,634
死別 38,762 7,767
離別 225,307 41,934
未婚率 13.7% 17.7%

 

55歳~59歳 女性(人数)

  高卒 大卒
未婚 171,548 70,199
有配偶 1,325,624 381,440
死別 72,791 13,093
離別 217,380 38,992
未婚率 9.6% 13.9%