2023年度 小学生の長期欠席率(30日以上) 都道 府県
2024年10月31日に文部科学省 が発表された小学生の長期欠席率(年度内で30日以上)を都道 府県別で比較して相関する要素を探そうと思いました。最初に「不登校 」の率だけを比較してみたのですが、相関係数 で0.3以上のものが見つけれなかったので、「不登校 」と「病気」を合算した長期欠席率で相関を調べました。「不登校 」と「病気」は、都道 府県の教育委員会 や学校の判断で明確には区別できない数値だと思い合算しました。
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査:文部科学省
長期欠席率で多いのは、沖縄県 4.62%と茨城県 4.1%と宮城県 3.95%です。長期欠席率で少ないのは、徳島県 2.05%と山形県 2.08%と岩手県 2.1%です。都道 府県で30日以上休む小学生の率が2倍以上も差が出るのは、何の要因なのだろうと思ったのが今回の記事作成の発端です。全国平均で、2023年の小学生の長期欠席の理由は30%が病気で、70%が不登校 でした。
2023年度 小学生の長期欠席率(都道 府県)と相関が強い要素
59個の要素を2023年小学生の長期欠席率(都道 府県)と比較して、相関係数 が大きかった上位10個は上記の内容です。赤の線は「負の相関」になります。相関が0.6以上の要素は見つけることが出来なく、小学生の長期欠席率の要因を探す難しさを感じました。不登校 や長期欠席は、いじめ・暴力行為と関係すると思ったのですが、都道 府県の相関はありませんでした。
相関
いじめ
0.05
いじめ重大
0.1
暴力行為
0.28
【人口増加率(前年比) 相関:0.562】
一番相関が強かったのは、都道 府県の前年からの人口増加率でした。人口が多くなったところは新型コロナの感染の影響が強く、欠席に繋がったのではないでしょうか。また人口が増加するということは、密度が高くなり児童が抑圧でストレスを感じやすくなることへの影響もあるかもしれません。小学生児童数だけの変化(2023年対2022年)の比較では、小学生の長期欠席率と相関は0.423でした。
【共働き率 相関:-0525】
2020年の6歳から12歳の子供がいる「共働き世帯」÷「一般世帯」の割合が高い都道 府県ほど、小学生の長期欠席率が低いということになりました。共働きは、正社員とパートを合算した数値です。意外な結果で、共働きであった方が小学生が長期欠席が少ないということになります。
一人の時間と空間が不足することで児童が抑圧を感じやすくなり、無気力になり不登校 になるのかもしれません。コロナ禍でリモートワークが増えて、両親と接する時間と空間の量の変化が子供に影響するのかもしれません。共働き率をパートを除くにすると相関は-0.46と下がるので、自宅に両親がいない方が良いのかもしれません。
6歳から12歳の子供がいる共働き率(都道 府県)
1位
富山
64.1%
2位
島根
63.0%
3位
新潟
62.1%
45位
神奈川
40.8%
46位
大阪
38.3%
47位
東京
35.6%
【持ち家比率 相関:-0.491】
持ち家比率が高い方が、長期欠席率が低いという結果になりました。これも新型コロナの感染で病気欠席の要因かもしれません。
【離婚率 相関:0.488】
離婚率は2023年の都道 府県別の総数を引用してます。離婚率が高い方が不登校 になりやすいという通説の通りなのかもしれません。
人口千人当たりの離婚率(都道 府県)
1位
沖縄
2.2
2位
宮崎
1.74
3位
北海道
1.71
45位
山形
1.2
46位
新潟
1.19
47位
富山
1.14
【住居面積 相関:-0.484】
住居面積が広い方が小学生の長期欠席率が低いという相関になりました。これも新型コロナの感染の病気欠席の要因かもしれません。また、空間が広い方が小学生の居場所があるので抑圧のストレスになりづらいというのもあります。
【一戸建て比率 相関:-0.48】
一戸建て比率が高い都道 府県の方が小学生の長期欠席率が低いという相関になりました。上記と同じく感染と児童の居場所が集合住宅と比較して良いのかもしれません。
【中学校卒業者の進学率 相関:-0.46】
2021年の都道 府県別の中学卒業後の進学率と負の相関があり、中学卒業後に進学するほど不登校 や長期欠席が少ないということになりました。高校卒業者の進学率は相関が0.1で関係がないようでした。
中学卒業後の進学率(都道 府県)
1位
山形
97.7%
2位
富山
97.5%
3位
石川
97.5%
45位
静岡
92.9%
46位
岐阜
92.5%
47位
愛知
91.3%
【小売店 数(人口千人当たり) 相関:-0.451】
小売店 の数が都道 府県に多いところほど、小学生の長期欠席率が低いということになりました。都道 府県別の社会データを色々比較して偶然高い数値になりました。理由は分かりませんでした。
【教員養成系の大学・大学院卒 相関:-0.443】
公立小学校の教員の統計で都道 府県別で、「教員養成の大学・大学院卒」の割合が高いと長期欠席が低いとなりました。教員養成系とは、大学で教育学部 だったということで、高校の時から将来教育に携わろうという児童に寄り添う気持ちが強いので抑圧を受けにくいのかもしれません。47都道 府県で不登校 の率が一番低いのは福井県 で、長期欠席も4番目に低い県です。
公立小学校の教員養成の大学・大学院卒率
1位
福井県
86.0%
2位
秋田県
82.0%
3位
北海道
81.4%
45位
大阪府
34.8%
46位
千葉県
32.3%
47位
東京都
31.7%
【公立小学校の教員数(1生徒当たり) 相関:-0.439】
教員数が多い方が、小学生の長期欠席が少ないということになりました。教員数は、本務者と兼務者を合計した値で計算してます。
小学生一人当たりの教員数
1位
三重
0.0401
2位
鳥取
0.0392
3位
和歌山
0.0372
45位
大阪
0.0113
46位
茨城
0.0107
47位
埼玉
0.0106
【小学生の長期欠席率と相関が0.4以上だった他の要素】
相関
小学校数(6~11歳人口10万人当たり)
-0.429
教員休職 精神疾患 2020年
0.423
幼保連携型認定こども園 の学級数 (1生徒当たり)
-0.422
認定こども園 数(0~5歳人口10万人当たり)
-0.415
高卒 就職率
-0.414
少年刑法犯 検挙率
0.401
高卒の就職率が高い方が小学生の長期欠席率が低いというのは、受験の抑圧が少ない地域の方が不登校 になりずらいかもしれません。
【小学生の長期欠席率と相関が見られなかった要素】
幼稚園教育費(在園者1人当たり)
-0.39
一次活動時間男性(睡眠食事身の回り)
-0.38
三世帯の割合(子供がいる場合)
-0.38
12歳以下人口割合
0.38
保育所 等数(0~5歳人口10万人当たり)
-0.36
精神病院 10万対
-0.35
児童福祉費 予算割合
0.33
父親 第一子年齢
0.33
世帯主の通勤時間
0.32
小学校教育費(児童1人当たり)
-0.31
上下水道 普及率
0.31
小学校児童数(1学級当たり)
0.30
母親 第一子年齢
0.29
所得格差
0.28
暴力行為
0.28
外国人 人口割合
0.25
生活保護 率
0.24
学習塾(小学生) 売上
0.24
児童1人当たり公立小学校費
-0.23
小学1~3年 放課後デイ
-0.21
出身高校所在地県の県内大学への入学者割合
0.21
県内の大学の数
-0.21
特別支援学級 数(公立小学校)
-0.20
コロナ 死者数
0.19
女性教員の割合
-0.19
教育費 予算割合
0.18
一人親世帯の割合
-0.18
通級 割合
-0.17
私立中学
0.16
児童福祉施設 等数(人口10万人当たり)
0.16
公園面積(一人当たり)
-0.15
教員の平均年齢
-0.15
放課後デイ 常勤割合
-0.14
フリースクール 数
-0.12
いじめ重大
0.10
日照時間
0.07
中絶率
-0.07
世帯主収入
0.05
いじめ
0.05
合計特殊出生率 2014年
-0.03
女性管理職
0.03
児童虐待
0.02
35~39歳 女性未婚率
-0.02
【2023年度 小学生 長期欠席率(30日以上)】
沖縄
4.62%
茨城
4.10%
宮城
3.95%
奈良
3.68%
長野
3.64%
福岡
3.57%
千葉
3.38%
大阪
3.29%
兵庫
3.26%
熊本
3.24%
神奈川
3.23%
岐阜
3.22%
静岡
3.21%
栃木
3.17%
東京
3.16%
北海道
3.12%
島根
3.12%
広島
3.10%
山梨
3.07%
高知
3.07%
鹿児島
3.03%
愛媛
2.99%
鳥取
2.99%
岡山
2.99%
愛知
2.84%
埼玉
2.78%
滋賀
2.78%
三重
2.76%
大分
2.75%
群馬
2.65%
富山
2.62%
青森
2.61%
福島
2.61%
山口
2.58%
石川
2.57%
長崎
2.56%
秋田
2.49%
新潟
2.41%
和歌山
2.39%
京都
2.39%
香川
2.35%
宮崎
2.34%
佐賀
2.34%
福井
2.11%
岩手
2.10%
山形
2.08%
徳島
2.05%