人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

詐欺の被害額(警察庁の統計)が2024年は過去最高の3,074億円で昨年から1.8倍

 

詐欺被害額(年間) 警察庁統計 1980年~2024年(億円)

警察庁令和6年の犯罪情勢

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/kikakubunseki/r6_jyosei.pdf

 

警察庁の令和7年2月の発表による財産犯のうち「詐欺」に該当する被害額が2024年は3,074億円で過去最多になりました。2022年から2023年で詐欺被害額が1.8倍、更に2023年から2024年に1.8倍と2年連続で1.8倍の増加になっています。

  2023年被害額 2024年被害額
特殊詐欺 453億円 722億円
SNS型投資・ロマンス詐欺 455億円 1,268億円
その他 718億円 1,085億円
詐欺合計 1,626億円 3,075億円


「詐欺」のうちで騒がれている「特殊詐欺」が占める被害額の割合は24%しかありません。

 

【特殊詐欺の被害額は441億円で過去最多ではありません】

特殊詐欺被害額 2014年~2024年(億円)

特殊詐欺被害額は2024年は721.5億円で過去最多となりました。

mainichi.jp

 

SNS型投資・ロマンス詐欺が1,268億円で特殊詐欺を超えている】

特殊詐欺の被害者は70代以上が多いですが、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害者は40代~60代が多いです。2022年以前は警察庁はこのタイプの犯罪を切り分けて統計を取ってなかったので、2023年に突然455億円という詐欺被害額のジャンルが誕生しました。その翌年の2024年には2.7倍の詐欺被害額の増加になりました。


2023年1月の被害額が16.1億円/月だったのが11か月後の2023年12月には77.6億円と1年間で4倍以上急増したことが警察庁の統計で分かります。SNS型投資詐欺の被害額は277億円で、被疑者と最初に接触したツールはSNS(LINE、フェイスブック、インスタグラム、マッチングアプリTwitter)が90%以上で、銀行振込の指示をLINEでやり取りを行っているようです。


ロマンス詐欺の被害額は177億円で、SNS型投資詐欺と同様に、最初の接触SNSが90%以上で、銀行振り込みの支持をLINEで行われるといった手口は同じです。
SNS型投資詐欺もロマンス詐欺も、一度も相手と対面で会ってなく詐欺が完結するのが特殊詐欺と大きく異なる点です。何故、SNS型で騙されるかというと、「投資をすることでリターンを見込める」という話が上手に誘導されるからだそうです。


「もしかしたら投資額が2倍になるかもしれない」というギャンブルに近い弱い部分の心理を巧みに操っているかもしれません。
SNS型投資ロマンス詐欺で400億円の被害額が2022年から2023年で増加と推察されます。

 

警察庁SNS型投資・ロマンス詐欺の被害について

https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-romance20240311.pdf

 

 

アメリカでは2020年から2023年でネット詐欺被害額が3倍】

アメリカのネット詐欺被害額

アメリカのFBIがネット詐欺被害が多いことから、詳細を分析して注意喚起している「IC3」というレポートから被害額をグラフにしました。

FBIレポート(英文):https://www.ic3.gov/Media/PDF/AnnualReport/2023_IC3Report.pdf

 

FBIレポートを要約しますと下記のようになります。

投資詐欺による損失を報告する可能性が最も高いグループは 30〜49 歳の被害者

 

テクニカルサポート詐欺による損失の半分以上を高齢者が占めていました

 

アメリカの投資詐欺の被害の80%は仮想通貨

 

被害に遭った仮想通貨を取り戻せるという嘘の二次被害も多い

 

投資詐欺は、日本だけでなくアメリカやイギリスなど世界中で直近3年で3倍に増加しています。サーフシャークというセキュリティー会社の統計では、世界の詐欺被害の金額は2019年から2022年の3年間で3倍になっています。

 

サーフシャーク社による2022年までの世界の詐欺被害状況

https://surfshark.com/research/data-breach-impact/statistics

 

 

【日本の詐欺の被害額1位はクレジットカードの番号盗用の不正利用か?】

詐欺被害額2023年内訳

クレジットカード不正利用はフィッシングメールにより偽サイトにログインさせることで、クレジットカード番号とパスワード等を不正に取得する詐欺です。クレジットカード不正利用は541億円で過去最高金額になっています。その内、95%以上がクレジットカード番号の盗用です。

 

クレジットカード不正利用被害額 2018年~2023年(億円)

 

クレジットカードの不正利用はカード会社に届け出ることで請求はされない規約になっていますが、不正利用されて60日(or90日)以上日数が経過したものは対象外になってしまいます。クレジットカードの不正利用で110億円の被害額が2022年から2023年に増加しています。クレジットカード不正利用被害額の統計は、カード会社の聞き取りベースになります。

 

 

【詐欺被害額が2023年に750億円増加した理由】

① SNS型ロマンス詐欺 400億円増
② クレジットカード不正利用 110億円増
③ 特殊詐欺 70億円増
④ 不明 170億円増

 

 

【2024年2月6日 から警察庁が振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止】

話題になってないようですが、警察庁は2023年の詐欺被害が多いのに気づき、暗号資産業者に送金元口座と依頼人が異なる場合は送金をさせない仕組みになったようです。
フィッシングメールにより銀行口座のID・パスワードが盗まれて暗号資産で外部に預金を引き出されるという被害を防ぐよう強化したということは、被害が2023年は大きかったのでしょう。

www.npa.go.jp

 

【インターネットバンキング被害が2023年が過去最高額 85億円】

インターネットバンキングによる不正送金の被害額

「詐欺」のカテゴリーには入らないですが、インターネットバンキングによる不正送金が過去最高の85億円でした。インターネットバンキングの手口は様々ですが、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メール等が多数確認されているフィッシングメールから発生が多い事案で、偽サイトでID・パスワードを入力してしまい、他の銀行口座に移されてしまう手口です。

 

 

詐欺被害額(億円) 警察庁統計

1980年 493
1985年 597
1989年 401
1990年 457
1991年 590
1992年 1,291
1993年 873
1994年 490
1995年 368
1996年 478
1997年 625
1998年 625
1999年 299
2000年 323
2001年 474
2002年 536
2003年 491
2004年 671
2005年 626
2006年 612
2007年 671
2008年 740
2009年 481
2010年 407
2011年 469
2012年 842
2013年 775
2014年 846
2015年 761
2016年 665
2017年 610
2018年 623
2019年 469
2020年 640
2021年 693
2022年 877
2023年 1,626
2024年 3,075

 

 

アメリカのネット詐欺被害額(億円)

2019 5,250
2020 6,300
2021 10,350
2022 15,450
2023 18,750

 

 

【日本のクレジットカード不正被害額(億円)】

2018 235
2019 274
2020 253
2021 330
2022 437
2023 541