2012年から国連が140ヵ国以上を調査する「世界幸福度調査」の内、6種類ある幸福度に寄与するもの中で「寛大さ」という項目が日本が2021年と2022年に149ヵ国中でワースト2位でした。
寛大さ(Generosity)を下位から数えた順位
2013年 | 34 |
2015年 | 19 |
2016年 | 21 |
2017年 | 26 |
2018年 | 22 |
2019年 | 14 |
2020年 | 3 |
2021年 | 2 |
2022年 | 2 |
2023年 | 3 |
2024年 | 4 |
「寛大さ」は「過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか」「見知らぬ他人を助けたことがあるか」「ボランティアをしたことがあるか」などを聞き取り調査の方法で点数化したものです。グラフを見ると新型コロナが始まる前まではワースト20位だったのが2020年に3位に「寛大さ」が減少したように思えます。
World Happiness Report 2024 | The World Happiness Report
2024年の「寛大さ」ランキングで、BEST5とWORST5は下記のようになります。
BEST1 | ミャンマー |
2 | インドネシア |
3 | ガンビア |
4 | ウクライナ |
5 |
タイ |
WORST1 | ジョージア |
2 | ボツワナ |
3 | ギリシャ |
4 | 日本 |
5 | チュニジア |
【人助けランキング、日本は大差で世界最下位】
「チャリティーズ・エイド・ファンデーション(CAF)」というチャリティー機関が2009年の金融危機後に行っている「世界人助指数」で日本は2021年はワースト1位/114ヵ国中でした。前述の国連の幸福度調査はもしかしたら、このチャリティー機関のデータを使用しているのかもしれません。
① 見知らぬ人を過去1ヶ月で誰かを助けたか? 日本 最下位114位 12%
② 過去1ヶ月で慈善団体に寄付をしたか? 107位/114国 12%
2021年の世界人助指数のレポートを見ますと、「過去1ヶ月に寄付・見知らぬ人を助けた」が12%となっています。12%という数字が世界では最下位になり、上位の国ではどちらの質問でも80%という数字になります。
寄付を過去1ヶ月でしたことがある人の割合
【内閣府調査 国民全体の利益よりも個人の利益を重視するパーセンテージ】
内閣府が行っている世論調査で、「国民全体の利益か個人の利益か」という問いに対する答えで「個人」と答えた人の割合が過去最高になっております。世界幸福度の「寛大さ」で他者を助けたり寄付をするというのは、「同じ国民として共感する」という意識が強いからなのでしょう。「共感」する範囲が昔は「日本人」という大きい枠組みだったのが、生存競争が激化することで共感できる範囲が「世帯」と小さくなったのではないでしょうか。
社会意識に関する世論調査(令和5年11月調査) | 世論調査 | 内閣府
「個人の利益」>「国民の利益」と答えた人の割合の年度推移
1993年 | 24.0% |
1994年 | 23.5% |
1995年 | 23.4% |
1996年 | 31.3% |
1997年 | 31.5% |
1998年 | 30.6% |
1999年 | 31.2% |
2000年 | 29.9% |
2001年 | 28.4% |
2002年 | 30.0% |
2003年 | 32.0% |
2004年 | 32.5% |
2005年 | 30.9% |
2006年 | 29.7% |
2007年 | 31.6% |
2008年 | 27.8% |
2009年 | 28.3% |
2010年 | 27.4% |
2011年 | 27.8% |
2012年 | 28.2% |
2013年 | 31.0% |
2014年 | 31.4% |
2015年 | 33.9% |
2016年 | 32.6% |
2017年 | 32.7% |
2018年 | 36.2% |
2019年 | 34.0% |
2020年 | 35.2% |
2021年 | 37.0% |
2022年 | 38.6% |
2023年 | 39.6% |
【世界価値観調査で日本人の寛容さを比較】
世界価値観調査は社会学者が66ヵ国の価値観を調査したものです。
日本が、66ヵ国中で1位だったものを取り上げてみました。
質問:隣に住んでいる人を完全に信頼できますか?
完全に信頼できると答えた人は、66ヵ国平均は17.2%でしたが、日本は4%で一番低かった。
質問:慈善団体を信用してますか?
完全に信用できると答えた人は、66ヵ国平均は17.3%でしたが、日本は2.2%で一番低かった。
質問:人生の主な目標の 1 つは、両親に誇りを持ってもらうことですか?
強くそう思うと答えた人は、66ヵ国平均は48.5%でしたが、日本は5.3%で一番低かった。
質問:母親がお金のために働くと未就学の子供たちは苦しむ
強く同情すると答えた人は、66ヵ国平均は14.1%でしたが、日本は1%で一番低かった。
世界価値観調査では上記以外でも日本だけ66ヵ国平均と乖離しているのが多く見られました。
【自分の人生の責任は自分で取るべきと思う人は公助に参加しなくなる】
国連の幸福度調査、世界価値観調査から日本は不親切な国民であると発信している大学教授の書籍の中で、日本人が不親切なのは「自己責任論が強い」からとありました。
「自己責任論が強い」と「公助に参加しない」は正の相関があるということです。
日本人の「迷惑をかけたくない」や「自己責任論」がどこから来ているか考えたときに、江戸時代からの「家を継ぐ」という道徳観念が影響しているのではと思いました。
日本の封建時代における道徳観念のもとでは、不始末が生じた場合にその責任をみずから判断し、自分自身で処置する覚悟を示すことで、自身のみならず一族の名誉を保つという社会的意味があった
切腹で責任を取るという道徳観念は世界で日本だけなので、他国と道徳観で差がでるのかもしれません。