人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

妻から夫への暴力(逆DV)相談が2023年過去最多で10年で4倍

妻から夫へのDV相談件数

 

警察庁が配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者の相談等を受理した件数で夫が被害者で、妻が加害者だった件数を統計にまとめました。2014年に5,982件の夫被害の相談件数が、2023年には25,183件と年々増加しております。

 

警察庁データ

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/R5_STDVRPCAkouhousiryou.pdf

https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/stalker/H30taioujoukyou_shousai.pdf

 

2014年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」が制定されて10年間で妻から夫への暴力事案等の被害相談が4倍になっています。夫から妻へのDV被害相談件数は2014年に53,090件で2023年には63,436件と20%増加ではありますが、2018年からは横ばいとなっております。

 

夫から妻へのDV相談件数

 

 

【男性は妻からのDV被害を公表しにくい立場にある】

 

内閣府が調査した配偶者間のDV被害の統計で、女性の57.6%は公的機関に相談しているが男性は26.9%の半分しか公的機関に相談しておりません。

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/h29danjokan-gaiyo.pdf

 

上記の内閣府の調査は2018年で、2023年の配偶者間のDV被害件数の男女を「相談しなかった」も考慮に入れると、男女間のDV被害割合は下記のようになると推測されます。

 

2023年の配偶者間のDV被害の潜在件数も含めると、夫被害が46%で妻被害が54%になると推察されます。実際は男女でDV被害件数は大きな差はないのですが、命に係わる危機を感じるのは女性の方が多いので緊急性が高いので、男性がDV被害というのは周囲に理解されずらいところではあります。

 

 

【女性の刑法犯検挙人数で女性比が2021年が過去最多】

刑法犯 検挙人数 女性比率

 

警察庁の刑法犯で検挙された男女比で女性比率にした1946年以降の推移のグラフになります。2021年が22.4%と過去最多の数値になっております。検挙人数自体は男性も女性も2006年以降に減少していますが、男女比は女性が高くなっています。

令和5年版 犯罪白書 第4編/第7章/第1節

 

 

【犯罪種別に分けた女性比率で2022年は過去最多が多い】

刑法犯の罪名の分類で「殺人」「強盗」「傷害」「暴行」「窃盗」「詐欺」「恐喝」「横領」「偽造」「放火」の10分類した際に、2021年・2022年の女性比が過去最多だったのは「強盗」「傷害」「暴行」「窃盗」「詐欺」「恐喝」の10項目中で6項目でした。

 

刑法犯 罪名別 女性比率

特に増加が大きいのは「暴行」で20年間で女性比が6%から15%と2.6倍の増加になっています。女性の暴行による検挙人数は、実数としても2022年が3,580人と過去最多になっております。

 

 

【受刑者の女性比率も2022年が過去最多】

入所受刑者 女性比率

令和5年版犯罪白書のデータを見ますと、入所受刑者の女性比率は2022年が10.75%と過去最多でした。1975年には1.98%と、「男性49人・女性1人の割合」でしたが40年経て5倍になっています。

 

 

【逆DV 夫被害の相談は表面化されにくい問題を抱えている】

妻から夫の暴力の相談事例を調べていて気付いたことは、夫本人は公表を希望してなくSNSやブログで「妻からDV被害を受けている」と書かれている人はいませんでした。直近10年で被害件数が5倍になっている夫被害のDVにも関わらず問題が表沙汰にならないのは、夫本人は家庭内で問題解決を希望しているからかもしれません。

 

妻からDV被害を受けていることが知れてしまえば、自分の勤務先に影響したり、子供の将来に影響したり、妻が犯罪者になる可能性があったり、両親や知人に影響したりを考えるとDVを公表するリスクが大きすぎるのではないでしょうか。