人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

1人当たり居住面積は2023年が14.6畳で過去最高

1人当たり居住室の畳数 1968年~2023年

2024年9月に発表された総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」で「1人当たり居住室の畳数」が過去最高の数字となりました。「1人当たり居住室の畳数」という指標は、住居の面積割る世帯人数の平均になり、2023年は14.65畳(24.7平方メートル)になりました。60年前の1968年から比較すると、2023年は2.6倍の1人当たりの居住面積となっています。

 

令和5年住宅・土地統計調査

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

 

日本では、戸建て・マンションともに右肩上がりで1人当たりの「1人当たり居住室の畳数」は増加しています。

1人当たり居住室の畳数 戸建て・マンション比較
  マンション 戸建て 総数
1993年 7.72 11.6 10.35
1998年 8.47 12.52 11.18
2003年 9.23 13.59 12.11
2008年 9.83 14.33 12.77
2013年 10.59 15.08 13.48
2018年 11.17 15.76 14.06
2023年 11.63 16.46 14.65

1993年から30年間で2023年では、マンションで1.5倍、戸建てで1.4倍の1人当たりの居住面積になります。

 

 

都道府県別で見ても全部で上昇している】

住宅・土地統計調査では都道府県別でも、「1人当たり居住室の畳数」が公表されています。2003年⇒2013年⇒2023年の10年間隔で47都道府県の増減を見ると、47都道府県全てで右肩上がりで上昇しています。更に絞り込んで住宅が高騰している政令指定都市や東京23区でデータを見ても、「1人当たり居住室の畳数」は減少が1度もなく上昇を続けています。一番狭いのが沖縄県の11.66畳、一番広いのが秋田県の18.53畳です。

 

1人当たり居住室の畳数(2023年) 都道府県別



【世界の先進国では1950年以降に1人当たりの居住面積が上昇している】

国別の1960年からの1人当たりの居住面積の推移のグラフです。台湾、中国、日本、ドイツが増加しているのが分かります。

 

アメリカの1975年からの1人当たりの住居面積と世帯人員数のグラフになります。濃い青線が1人当たりの居住面積で1973年が551スクエアフィート(51平方メートル)だったのが、2015年には1,058スクエアフィート(98平方メートル)と2倍になっています。1世帯当たりの人員数は3.01人から2.54人に16%減少になっています。

新築住宅におけるアメリカ人一人当たりの総居住面積は、1980 年以来 60% 増加し、1900 年以来 5 倍増加したようです。

https://www.aei.org/carpe-diem/new-us-homes-today-are-1000-square-feet-larger-than-in-1973-and-living-space-per-person-has-nearly-doubled/

 

 

【1人当たりの居住面積は1人当たりのGDPと相関している】

グラフは、1人当たりのGDPと1人当たりの住居面積は相関するという海外の記事からの引用になります。右上の黄緑の円が北アメリカで、左下の灰色の円がアフリカ、日本は「Develped Asia」で真ん中あたりになると思われます。

Average home sizes: living space per person? - Thunder Said Energy

この記事を要約しますと下記になります。

 

1人当たりの収入と1人当たりの居住面積の間には直接的な線形関係があります。

 

一部の研究では、1 人あたりの居住スペースが広いほど、特に男性の満足度が高くなることが示唆されています

 

裕福な国は 1 人当たりの居住スペースが広い傾向があり、経験則では 1 人当たりの GDP 1,000 ドルは 1 人当たりの居住スペース 1 平方メートルに相当します。

 

【1人当たりの居住面積は、年収÷1,000ドルが指標】

2024年現在は為替が円安ですが、仮に1ドル130円と計算すると、100平方メートルの住宅に住むには指標として、年収10万ドル=年収1,300万円ということになります。

 

国別で比較しますと、1位はオーストラリア、2位がアメリカ、3位がカナダと、移民先として人気の国が1人当たりの居住面積が広いように思えます。

日本はヨーロッパと同じくらいです。

 

 

【単身世帯の増加が先か、居住スペースを広くしたいが先か?】

日本の1世帯当たりの人員数 1986年~2023年

一人当たりの居住面積の増加は、経済成長、社会規範の変化、技術の進歩によって促進された 20 世紀の現象であるといわれてます。因果関係でどちらが先かは分からないですが、1世帯当たりの人員数の減少と1人当たりの居住スペースの増加は大きく関係していると思われます。

上記のグラフは1986年から2023年までの1世帯当たりの人員数の推移ですが、1986年は3.22人でしたが2023年は2.23人と37年間で1世帯の平均人員数は30%減少しています。1986年から2023年に1人当たりの居住スペースは1.6倍になっていて、世帯人員の減少の1.3倍よりも大きい値になっています。

 

 

【集団で暮らす必要性が減ってきた】

1950年代から1人当たりの居住スペースを増加したいという欲求が高まってきた背景には、戦争がなくなり外敵がいなくなったので集団になる必要性がなくなったというのも考えられると思います。

集団で暮らす必要性がなくなったというのも少子化の一つの原因なのではないでしょうか。