人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

難民の受入国と出身国2024年(UNHCR統計)国外退避が5200万人

難民の受入国と出身国2024年上位10ヵ国

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)が提供するデータから、自国にいることで迫害・戦争・暴力から国外に退避を続けている人数を受入国と出身国でグラフにしてみました。UNHCRは国際連合の難民問題を扱う機関で、2度のノーベル平和賞を受賞している1950年から活動している機関です。

国連難民高等弁務官事務所 - Wikipedia

 

難民受入国1位のイランは376万人、難民出身国のベネズエラは783万人となっております。人数は年間ではなく、現在国外に退避している人数になり、国内退避は含まれてません。

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)の統計の分類で下記の5つの項目の合計値を国別に比較しております。

① 難民の内、国外に退避している人(3195万人)

② 難民申請中の人(799万人)

③ 難民認定されてないが、強制的に国外に追い出された人(579万人)

④ 法律の運用上、どの国家にも国民とみなされない人々(436万人)

⑤ 難民認定されてないが、UNHCRから支援を受けているホストコミュニティ(191万人)

2024年時点で①~⑤が5200万人いて受入国と出身国の上位10ヵ国の内訳が下記の表になります。

 

【難民の受入国】

  人数
イラン 3,764,517
アメリ 3,619,494
トルコ 3,343,715
ドイツ 3,052,607
コロンビア 2,859,458
バングラデシュ 1,969,262
ウガンダ 1,769,288
パキスタン 1,752,382
ペルー 1,567,375
チャド 1,547,604

 

【難民の出身国】

  人数
ベネズエラ 7,839,216
ウクライナ 6,627,914
アフガニスタン 6,499,390
シリア 6,419,450
南スーダン 2,333,417
スーダン 2,242,279
ミャンマー 1,365,464
コンゴ 1,183,035
ソマリア 1,087,697
中央アフリカ 777428

 

UNHCRの難民の統計は下記URLからエクセルでダウンロードできます。

Annexes for Global and Mid-Year Trends

 

ベネズエラ

難民出身国でベネズエラが1位なのは、他の国にはない「強制的に国外に避難させられているのに難民に該当されてない」という項目でUNHCR(国連高等難民弁務官事務所)が579万人計上しているためです。ベネズエラ産油国でしたが経済破綻となりハイパーインフレとなり、戦争国よりも難民が多くなっていて、南米や中米に退避しております。

prtimes.jp

 

【世界の国外に退避している難民の推移】

難民(国外退避)の推移 2001年~2024年

2024年が2023年から250万人減少しているのは、ベネズエラ難民へのUNHCR(国連高等難民弁務官事務所)の支援対象の分類方法の変更によるものだそうです。国外に退避している難民は2023年と2024年は5400万人から5200万人と高止まりで変わらずです。グラフを見ますと、2014年から難民が増えてきています。難民の避難先が国内・国外合算すると2024年で世界の難民は1億2000万人になります。

www.unhcr.org

 

EUの難民申請の推移】

2023年には、EU諸国で国際保護を申請した初めての亡命申請者(非EU国民)は104万8900人で、2022年(87万3700人)と比べて20%増加しました。 2024年8月時点ではEUの2024年の難民申請は2023年よりは減少しております。

First-time asylum applications up 20% in 2023 - Eurostat

 

 

【日本の難民申請者の推移】

日本の難民申請者の推移 2014年~2023年

日本の2023年の難民申請者は13,823人です。出身国別にみると、スリランカ(3,778人)、トルコ(2,406人)、パキスタン(1,062人)、インド(934人)が多い順になります。

EUと比較すると「難民申請人数÷国民人口」では、日本はEUの1/20と少ない難民申請になります。陸続きの国へ退避する難民が多いのが理由なのでしょうか。

 

 

【韓国の難民申請 2023年】

韓国では亡命と難民の区別はなく、2023年の難民申請の出身国は下記が主な国です。韓国の難民申請の人口比を日本の難民申請の人口比と比較すると、日本の方が1/3と少ない数字でした。

 

ロシア 5,750
カザフスタン 2,094
中国 1,282
マレーシア 1,205
インド 1,189

 

 

【出生数減少と難民の影響】

2018年の出生数から2024年の出生数がどれくらい減少したか国別で、上位にきている国が難民の影響を受けている国と思って今回記事を作成してみました。難しいのは移民と難民の正確な数字が把握できなく、移民と難民を多く受け入れている国ほど2024年の出生数が減少しているという記事にしたかったのですが、相関を示すことはできませんでした。

難民の4割は子供と言われているので、難民280万人受け入れたコロンビアは数年で子供が100万人増えたことになり、出生を控える本能が働くのではと調べたのですが分かりませんでした。

《2018年⇒2024年 出生数減少率》

1 ウクライナ 8.2%
2 中国 7.1%
3 チリ 6.6%
4 ポーランド 6.0%
5 アルゼンチン 5.9%
6 コスタリカ 5.6%
7 ラトビア 5.5%
8 コロンビア 5.4%
9 タイ 5.1%
10 エストニア 5.1%
11 リトアニア 5.0%

 

ポーランドは難民は90万人ですが、ウクライナから140万人の移民を受け入れていたり、コロンビアは280万人の難民を受け入れています。バルト三国ウクライナと接してはいませんが、リトアニアでは人口の3%のウクライナ人が避難しています。