法務省の統計にある刑務所・拘留所の被収容者の総数を各年の年末の12月時点の人数を戦後からグラフにしてみました。2024年はこの記事を書いている5月時点の数字になります。
刑務所・拘留所の被収容者の人員数は1949年の96,609人をピークにした後は減少を辿り1973年の46,083人まで落ち込みました。1995年頃から増加に転じて2006年の81,255人まで増加した後に減少に転じて、2024年5月の最新データが40,308人で過去最少になっております。
後述しますが1995年から刑務所・拘留所の被収容者の総数が増加した理由はバブル崩壊による失業率の悪化だと言われています。
法務省 矯正統計表
https://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_kousei.html
【刑法犯認知件数は2021年が過去最少】
刑法犯認知件数は2002年に285万件でしたが、19年後の2021年には1/5の57万件に減少しました。2023年11月までの刑法犯認知件数は64万件で、2023年の主な犯罪は、下記になります。
非侵入盗 | 237,968 |
乗り物盗 | 166,301 |
器物損壊等 | 52,719 |
暴行・傷害 | 48,111 |
詐欺 | 41,432 |
侵入盗 | 40,788 |
わいせつ | 18,233 |
占有離脱物横領 | 12,724 |
住居侵入 | 9,922 |
非侵入盗は、外出先でひったくりに遭遇するなど、自宅以外で金品を取られるものです。乗り物盗は、自転車や自動車やバイクの盗難です。刑法犯認知件数がピークだった2002年で多かった犯罪が非侵入盗で、人気のない道を歩いていて金品を奪われる被害が多くありました。
【犯罪が増加・減少する要因を警察庁でも正確には分かってない】
平成30年警察白書
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h30/gaiyouban/gaiyouban.pdf
警察白書では犯罪の増減はデータ化できますが、何故犯罪が増えたり減ったりするかの特定要因が難しいとのことです。犯罪が増加する主な要因としては「完全失業率」があると推察されてます。
【完全失業率の上昇が犯罪を増加させた要因なのか】
上記のグラフは、1989年から2017年の「完全失業率」と「刑法犯認知件数」をグラフにしたものです。オレンジの線が完全失業率で右軸、青の線が刑法犯認知件数で左軸になります。
完全失業率も刑法犯認知件数もピークは2002年で一緒でした。つまり上記のグラフで犯罪が増加した要因は確かに完全失業率の上昇なのかもしれません。
【2002年以降に刑法犯認知件数が減少した理由① 防犯カメラ】
防犯カメラの設置増で犯罪件数が半減 | 日経クロステック(xTECH)
2002年の刑法犯認知件数がピークだった時に警察の犯罪増加の分析として、「人気のない場所の外出先で金品を盗まれるのが多発している」とありました。
街頭に防犯カメラが設置されるようになり、リスクなしに安易に奪うことが出来なくなったのが犯罪減少の一つの要因と言われています。
【刑法犯認知件数が減少した理由② インターネットバンキング】
日本でインターネットバンキングが普及されだしたのが2002年です。
お金を持ち歩く必要もなく、所持しておく必要もなくなり、犯罪を企図する人の歯止めになったのではないかと思われます。
【刑法犯認知件数が減少した理由③ 若い世代の犯罪に対するリスク意識】
上記のグラフは、年齢別において刑務所・拘留所の被収容者が「2022年」÷「2006年」の数値を計算したものです。その際に2006年と2022年の年齢階層の人口も考慮に入れて、年齢階級別で犯罪率の変化を比較したものです。
49歳以下を見ると2022年では2006年よりも受刑者が半分以下になっています。
2000年頃と比較して犯罪に対するリスクの意識が若い世代ほど高まっていると推察されます。
2006年被収容者 | 2022年被収容者 | 変化 | |
20~22歳 | 1,424人 | 492人 | 40% |
23~25歳 | 4,419人 | 1,658人 | 44% |
26~29歳 | 6,319人 | 2,371人 | 47% |
30~39歳 | 19,315人 | 6,286人 | 45% |
40~49歳 | 14,373人 | 7,854人 | 44% |
50~59歳 | 12,085人 | 7,121人 | 72% |
60~69歳 | 6,330人 | 3,839人 | 64% |
【日本の刑務所・拘留所の人数】
1946年 | 67,991人 |
1947年 | 79,901人 |
1948年 | 91,167人 |
1949年 | 96,609人 |
1950年 | 95,353人 |
1951年 | 92,502人 |
1952年 |
76,468人 |
1953年 | 75,511人 |
1954年 | 78,019人 |
1955年 | 82,587人 |
1956年 | 80,825人 |
1957年 | 78,238人 |
1958年 | 79,106人 |
1959年 | 77,206人 |
1960年 | 72,103人 |
1961年 | 68,934人 |
1962年 | 66,459人 |
1963年 | 63,509人 |
1964年 | 62,592人 |
1965年 | 63,233人 |
1966年 | 63,145人 |
1967年 | 58,157人 |
1968年 | 53,848人 |
1969年 | 50,142人 |
1970年 | 47,754人 |
1971年 | 47,744人 |
1972年 | 48,206人 |
1973年 | 46,083人 |
1974年 | 44,916人 |
1975年 | 45,994人 |
1976年 | 46,834人 |
1977年 | 48,812人 |
1978年 | 50,707人 |
1979年 | 50,985人 |
1980年 | 50,706人 |
1981年 | 52,667人 |
1982年 | 54,394人 |
1983年 | 54,569人 |
1984年 | 55,297人 |
1985年 | 55,974人 |
1986年 | 55,641人 |
1987年 | 55,164人 |
1988年 | 54,204人 |
1989年 | 50,481人 |
1990年 | 46,858人 |
1991年 | 45,193人 |
1992年 | 45,082人 |
1993年 | 45,525人 |
1994年 | 46,120人 |
1995年 | 47,398人 |
1996年 | 49,414人 |
1997年 | 50,897人 |
1998年 | 52,713人 |
1999年 | 56,133人 |
2000年 | 61,242人 |
2001年 | 65,508人 |
2002年 | 69,502人 |
2003年 | 73,734人 |
2004年 | 76,413人 |
2005年 | 79,055人 |
2006年 | 81,255人 |
2007年 | 80,193人 |
2008年 | 77,408人 |
2009年 | 75,727人 |
2010年 | 73,539人 |
2011年 | 70,516人 |
2012年 | 67,631人 |
2013年 | 63,593人 |
2014年 | 60,951人 |
2015年 | 58,949人 |
2016年 | 56,422人 |
2017年 | 53,691人 |
2018年 | 51,108人 |
2019年 | 48,761人 |
2020年 | 46,913人 |
2021年 | 45,078人 |
2022年 | 42,116人 |
2023年 | 40,451人 |