人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

クレジットカードの延滞人数(異動)は2023年9月は過去最高で438万人

クレジットカードの延滞人数(異動)

参照データ

https://www.cic.co.jp/eec47bfefc395d5e0a65dfadbaf364813c92a33f.pdf

 

クレジットカードの利用状況を月次で公表するCICの統計データで「異動」というマークがついている人数をグラフにしました。(縦軸の単位は万人)

異動情報とは、「約定返済日より 61 日以上または 3 ヶ月以上支払いが延滞しているもの」を指します。

 

CICの個人情報は、第三者が本人の許可を得れば見ることが出来てしまうもので、「異動」のマークがあるかないかを賃貸やクレジットカード発行や新規借入や住宅ローン申し込みや就職時にチェックされることが多い項目です。

 

「異動」のマークがあると、新規借入・クレジットカード発行・スマホ契約・賃貸契約に支障がでるので、なるべく異動がCIC情報に乗らないように延滞せず返済するのが普通です。

 

正式な言葉ではありませんが、一般的に「異動」=「ブラックリスト」ということになります。

 

異動マークは、返済完了や債務整理や自己破産後には5年後に消滅する仕組みです。

今回の異動は「残債がある人の中での異動」なので、債務整理や自己破産や完済して5年以内の人数は含まれていません。

 

【2011年~2023年の異動(延滞人数)】

クレジットカード滞納者人数

データが存在するのが2011年からなので、毎年の9月時点での異動人数をグラフにしてみました。綺麗な右肩上がりで増加しています。

2011年の総量規制までは、クレジットカードは「お金を借りる目的では使用してなかった」のが、消費者金融で借りるところが制限されて、焦げ付きやすい人がクレジットカードに流れたのが1つの増加の要因なのでしょう。

 

異動が増加したもう1つの背景は、クレジットカード各社の顧客の囲い込みが激化して、クレジットカード新規発行時の審査が昔よりも緩くなっているのも延滞者が増える原因になっていると思われます。

 

 

【クレジットカードの異動の人数率が7.3%

クレジットカードの延滞人数(異動)率



クレジットカードの延滞(異動)人数 ÷ クレジットカード残債ある人(1回払いを除く)

 

過去5年で延滞率が上昇しています。

異動人数(延滞)が上昇していますが、クレジットカードの利用者(1回払いを除く)は年々減少しているのが特徴です。

クレジットカードでローンを組む、自動車やバイクやスマホや電化製品などが主な対象ですが返済の利息が高いのでローンを組まない人が増えていることが背景にあると推察されます。

 

クレジットカードでローンを組む人が減っているのに、延滞人数が多くなっているというのは、経済的に二極化して格差が拡大しているとも言えます。

 

アメリカのサブプライム層の延滞率が6.1%】

アメリカ サブプライム自動車ローン延滞率

www.bloomberg.co.jp

アメリカの自動車ローンの延滞率でサブプライム層では6.11%と過去30年で最高の水準になりました。アメリカは個人毎に「信用スコア」という返済の度合いがあり、一番信用の低いサブプライム層では延滞が6.11%ですが、自動車ローン全体での延滞率は0.4%と低くなっています。

 

日本ではクレジットカードにローンがある人の7.3%が「60日以上の延滞」がある状態で、アメリカよりも深刻のような気がします。

 

【日本の自己破産件数も増加】

自己破産人数(前年同月比)

参照: 司法統計情報 | 裁判所 - Courts in Japan

 

2022年8月から急激に自己破産件数が増加しております。

対前年同月比のグラフで、コロナ禍の2022年は自己破産が少なかったので2023年は増えたように見えますが、2023年9月の自己破産件数6,694件は、9月としては2012年以来は最高になってます。

 

2011年から改正貸金業法が変更されて、収入に見合った借入しかできないように法改正が行われたので、自己破産件数が2013年以降は低下しました。

 

改正貸金業法が行われて2012年以降は自己破産件数が低下してたのを考慮すると、2023年3月ごろからの急増は、社会的に金銭難の人が増えた証左のように思えます。

 

 

【使用したデータ】(万人)

  異動人数 異動率 利用者数
2018/8 364 5.5% 6,665
2018/9 368 5.5% 6,658
2018/10 370 5.5% 6,669
2018/11 369 5.5% 6,694
2018/12 372 5.5% 6,720
2019/1 373 5.5% 6,727
2019/2 376 5.6% 6,699
2019/3 376 5.6% 6,675
2019/4 376 5.6% 6,703
2019/5 378 5.6% 6,729
2019/6 380 5.7% 6,724
2019/7 381 5.7% 6,718
2019/8 384 5.7% 6,705
2019/9 386 5.8% 6,688
2019/10 387 5.7% 6,742
2019/11 389 5.8% 6,762
2019/12 392 5.8% 6,771
2020/1 392 5.8% 6,775
2020/2 395 5.9% 6,733
2020/3 396 5.9% 6,695
2020/4 396 5.9% 6,665
2020/5 398 6.0% 6,591
2020/6 400 6.2% 6,499
2020/7 400 6.2% 6,470
2020/8 400 6.2% 6,462
2020/9 393 6.1% 6,425
2020/10 393 6.1% 6,410
2020/11 394 6.1% 6,411
2020/12 395 6.1% 6,426
2021/1 395 6.2% 6,414
2021/2 396 6.2% 6,371
2021/3 397 6.3% 6,328
2021/4 396 6.3% 6,335
2021/5 396 6.2% 6,348
2021/6 398 6.3% 6,320
2021/7 398 6.3% 6,294
2021/8 400 6.4% 6,262
2021/9 401 6.4% 6,253
2021/10 401 6.4% 6,262
2021/11 403 6.4% 6,289
2021/12 405 6.4% 6,320
2022/1 406 6.4% 6,343
2022/2 407 6.4% 6,323
2022/3 407 6.5% 6,288
2022/4 407 6.5% 6,293
2022/5 408 6.5% 6,324
2022/6 410 6.5% 6,344
2022/7 411 6.5% 6,351
2022/8 414 6.5% 6,344
2022/9 415 6.6% 6,295
2022/10 416 6.6% 6,272
2022/11 419 6.7% 6,281
2022/12 421 6.7% 6,260
2023/1 422 6.8% 6,201
2023/2 424 7.0% 6,022
2023/3 426 7.1% 5,982
2023/4 429 7.2% 5,982
2023/5 430 7.2% 5,978
2023/6 431 7.2% 5,979
2023/7 433 7.2% 5,982
2023/8 435 7.3% 5,990
2023/9 438 7.3% 5,965