人口減少時代をグラフで読み解く

人口減少の時代に起きる様々なことをグラフにして考察

日本の出生率の低下は農林漁業の就業率の低下と強い相関

農林漁業就業率と出生率の相関

 

総務省労働力調査から産業別就業者数を表にして、「農業」「林業」「漁業」を足した就業者数を全体の就業者数で割って計算した数値が青線の値になります。

図4 産業別就業者数

 

1970年から2022年までの「農林漁業就業率」と「出生率」の相関係数は、「0.958」と高い相関になりました。

 

インドの出生率で全体は「2.05」ですが、都市部は「1.6」であるということを知って、「農村部と都市部では大きく出生率が異なるのでは?」という問いから確度ある数値を用いて検証してみました。

 

農村部では、親が子供に継いでもらうことで農業・林業・漁業が継続するので、頑張って多くの子供を作るという気持ちが自然と生じます。

 

都市部では「2人産めればいい」という方が多いと思います。

都市部では住居の狭さも影響して子供を3人以上持つのは難しくなってきます。

 

少子化対策法案のリバウンド】

グラフを見ると分かりますが、2003年9月に少子化対策法が新しくでき、2007年から出生率が上昇に転換しました。少子化対策に予算を導入することで出生率が上昇したことになります。

しかし2022年には、グラフのように結局は「農林漁業就業率」と同じ結果に減少しています。

 

【農林漁業就業率と出生率 1970年~2022年】

  全産業人口
万人
農林漁
万人
農林漁
出生率
1970 5,094 886 17% 2.13
1971 5,121 815 16% 2.16
1972 5,126 755 15% 2.14
1973 5,259 705 13% 2.14
1974 5,237 675 13% 2.05
1975 5,223 661 13% 1.91
1976 5,271 643 12% 1.85
1977 5,342 634 12% 1.8
1978 5,408 633 12% 1.79
1979 5,479 613 11% 1.77
1980 5,536 577 10% 1.75
1981 5,581 557 10% 1.74
1982 5,638 548 10% 1.77
1983 5,733 531 9% 1.8
1984 5,766 512 9% 1.81
1985 5,807 509 9% 1.76
1986 5,853 495 8% 1.72
1987 5,911 489 8% 1.69
1988 6,011 474 8% 1.66
1989 6,128 463 8% 1.57
1990 6,249 451 7% 1.54
1991 6,369 427 7% 1.53
1992 6,436 411 6% 1.5
1993 6,450 383 6% 1.46
1994 6,453 373 6% 1.5
1995 6,457 367 6% 1.42
1996 6,486 356 5% 1.43
1997 6,557 350 5% 1.39
1998 6,514 343 5% 1.38
1999 6,462 335 5% 1.34
2000 6,446 326 5% 1.36
2001 6,412 313 5% 1.33
2002 6,330 296 5% 1.32
2003 6,316 293 5% 1.29
2004 6,329 286 5% 1.29
2005 6,356 282 4% 1.26
2006 6,389 272 4% 1.32
2007 6,427 273 4% 1.34
2008 6,409 270 4% 1.37
2009 6,314 264 4% 1.37
2010 6,298 255 4% 1.39
2011 6,293 249 4% 1.39
2012 6,280 241 4% 1.41
2013 6,326 234 4% 1.43
2014 6,371 231 4% 1.42
2015 6,402 229 4% 1.45
2016 6,470 223 3% 1.44
2017 6,542 221 3% 1.43
2018 6,682 228 3% 1.42
2019 6,750 222 3% 1.36
2020 6,710 213 3% 1.34
2021 6,713 208 3% 1.30
2022 6,723 205 3% 1.26

 

 

【中国の出生率低下も農村部人口の低下】

  農村人口割合 出生率
2010年 50.3% 1.69
2020年 36.1% 1.28
減少率 71.8% 75.7%

 

中国でも農村部から都心部に人口移動が起きて、2010年から2020年の10年間で農村部の人口割合が71.8%に減りました。

相関するように中国全体の出生率が75.7%に減っています。

 

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農村人口の割合が産業構造の大きな転換によって変化し、農村部と都心部の人口割合が変化することで出生率の低下が全世界で起きているのかもしれません。

 

【日本では林業は増加している】

2005年と2020年の国勢調査を比較すると15年間の変化は

農業:64%(減少)

漁業:61%(減少)

林業:130%(増加)

農林漁全体:71%(減少)

 

林業が農林漁業に占める就業者の割合が3.3%と低いのですが、林業は学校が増えたりして就業者が増加傾向にあるようです。